しばき隊(C.R.A.C.)とは何か?

しばき隊とは、2013年に結成された反レイシズム(反差別)を掲げる市民団体です。正式名称は「対レイシスト行動集団(C.R.A.C.)」で、主に「在特会(在日特権を許さない市民の会)」などの排外主義団体が行う差別的な街宣活動に対して、抗議やカウンター活動を行ってきました。

「しばき隊」という名前は、差別主義者(レイシスト)に対して抗議する姿勢を表現するためのもので、「レイシストをしばく(懲らしめる)」という意図で名付けられました。元々はネット上で呼びかけられた非公式グループでしたが、のちにC.R.A.C.という名称で再編され、音楽イベントやSNSを活用して差別反対のメッセージを広げています。

しばき隊と「在日」の関係とは?

しばき隊の登場背景には、「在日コリアン」など外国籍の住民に対する排外主義の拡大が深く関係しています。2009年以降、在特会を中心とした団体が「在日特権の廃止」を名目に、ヘイトスピーチや過激なデモを繰り返すようになりました。そのデモの多くは、東京都新大久保や大阪鶴橋など、在日韓国・朝鮮人が多く暮らす地域で行われていました。

それに対して、黙っていられなかった一般市民や有識者が自発的に立ち上げたのが「しばき隊」です。在日の人々にとって、こうした「差別を許さない」動きは、直接的な支持ではないにせよ、心理的な安心感をもたらした側面もあります。一方で、過激な言動や手法に疑問を持つ声もあり、在日コミュニティ内でも評価は分かれています。

年代別:しばき隊の活動と社会的影響

しばき隊の活動は、2013年の結成以降、社会の中で大きな話題となりました。以下の表で、主な活動と社会的反応を整理します。

年代 主な活動内容 社会的反応・影響
2013年2月 初のカウンターデモを実施(新大久保) ネットや報道で注目され、市民運動の象徴的存在に
2013年夏 活動が拡大し、全国に波及 暴力的と批判される一方、支持者も急増
2014年 C.R.A.C.として組織的に再編成 政治・文化イベントとも連携し、若者層へ訴求
2015年以降 カウンター活動は一部縮小傾向に SNSや音楽を通じた啓発が中心に

在日にとって「しばき隊」とは何か?

在日コリアンの中には、「しばき隊」のように差別に声を上げる人々に救われたと感じる人も少なくありません。特に、新大久保でヘイトデモが行われていた当時、多くの在日住民は不安と怒りを抱えており、静かに日常を脅かされていました。

『週刊SPA!』の特集では、「誰かが立ち向かってくれているという事実だけで救われた気がした」との声も紹介されています。しかし一方で、「騒ぎを大きくして逆に在日への反感を煽っているのでは」との懸念も根強くありました。

つまり、在日当事者にとって「しばき隊」は、希望であると同時に、複雑な存在でもあるのです。その評価は個々人の立場や経験によって大きく異なります。

賛否両論:しばき隊の評価を整理

しばき隊に対しては、賛否が分かれています。支持と批判の声を表で比較してみましょう。

視点 内容 補足説明
賛成意見 ヘイトスピーチに市民が立ち上がった点を評価 弱者を守る姿勢が称賛され、若者層にも広がった
批判意見 過激な言動・暴力的イメージが逆効果という指摘 法的な整合性や市民性に疑問を持たれることも
中立意見 問題提起としては重要だが方法論に課題 「手法と思想は分けて考えるべき」という意見

よくある誤解をQ&Aで解消

Q:しばき隊は暴力団や極左なの?
A:いいえ。しばき隊は市民有志による抗議団体です。暴力団や過激派とは一線を画し、音楽イベントやSNSを通じて活動してきました。

Q:在日としばき隊は同一人物なの?
A:違います。在日の人も支援者には含まれますが、全ての在日が関与しているわけではありません。あくまで個人の立場によるもので、混同は誤りです。

Q:しばき隊の活動は違法では?
A:活動内容によっては違法とされるケースもありますが、多くは法に触れない範囲での表現・抗議行動です。問題は、行き過ぎた行為の可否であり、団体全体が違法というわけではありません。

まとめ|しばき隊とは何だったのか?

しばき隊とは、在日を含む多様な市民にとって、差別に「NO」を突きつける象徴的な存在でした。その活動は過激とも捉えられますが、少なくとも日本社会に「ヘイトスピーチ」という概念とその問題性を認識させたという点で、大きな役割を果たしました。

一方で、活動方法やイメージが誤解や批判を招いたことも事実です。大切なのは、「差別を許さない」という理念を継承しつつ、冷静で持続的な対話と行動を選ぶことかもしれません。

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