はじめに

こんな動画をみつけました。

【実話】韓国ダイソーが勝手に独立「日本の支配はもう受けない」
→すると日本「知りませんよ?」韓国の収益が…

というものですが内容が面白かったので調べてみました。

【動画】韓国ダイソーが日本から独立して業績悪化?

動画のあらすじ

  • 独立: 提携関係にあった韓国ダイソーが、「日本から学ぶことはもうない」として独立を宣言。日本のダイソーは、保有する株式を売却し、これを承諾します。
  • 経営の悪化: 独立後、韓国ダイソーは日本からの商品供給が正規の価格となり、低価格を維持できなくなります。さらに、自社開発した商品の品質が低く、顧客からのクレームが殺到し、経営が悪化の一途をたどります。
  • 結末: 経営者は再建を試みるも失敗。一方、日本のダイソーは、韓国ダイソーの話題で他国での評価を高め、さらに成長を続けます。

この動画は、安易な独立の危険性や、ビジネスにおける提携関係の重要性を教訓として描かれています。では、実際の韓国ダイソーの独立後の業績がどうなのかをご紹介していきます。

結論:独立後も業績悪化は確認されず

早速結論ですが実際の韓国ダイソーは独立後も業績が非常に好調であり、先ほどご紹介した動画の内容は事実とは異なります。

韓国ダイソー(아성다이소)は、2023年に日本ダイソーとの資本関係を解消し、完全に韓国資本の企業となりました。これにより「独立で業績が悪化したのではないか」という声が消費者や投資家の間で広がりました。

しかし公開されている決算報告を確認すると、独立後も売上・営業利益はむしろ増加傾向にあり、「業績悪化」という表現は事実と異なります。実際、2024年には売上が約3兆9689億ウォン、営業利益は前年比40%以上増加しており、数字上は健全な成長を維持していることが明らかになっています。

独立の経緯:韓国完全資本化のタイムライン

韓国ダイソーは当初、日本ダイソーと韓国企業が合弁で運営していました。しかし2023年末、日本側の持株がすべて売却され、アソンダイソー(韓国側)が100%株式を保有する体制に移行しました。

これにより経営方針の自由度は高まり、商品開発や店舗戦略を韓国市場に即した形で迅速に行える環境が整いました。独立の背景には、韓国国内でのブランド力強化と、日本ダイソーとは異なる戦略を模索したいという意向があると報じられています。

韓国ダイソーの成り立ち

韓国のダイソーは、元々「アソン産業」という韓国の企業が日本の大創産業と提携して始まったものです。アソン産業は1992年に設立され、生活雑貨の輸出事業を行っていました。1997年、同社は日本で流行していた100円ショップのモデルを参考に、韓国初の均一価格店「アスコイブンプラザ」を独自にオープンしました。

その後、日本の大創産業から出資を受け、2001年に提携を結びました。この提携により、店名を「ダイソー」に変更し、韓国全土に急速に店舗を拡大しました。当初は日本の大創産業と協力関係にありましたが、独自の経営路線を歩み、現在では日本とは資本関係のない独立した企業となっています。

韓国ダイソーの独立前と独立後を決算で見る

実際の数字を確認することが最も信頼できます。以下の表は、公開された直近3年の韓国ダイソー(아성다이소)の主要決算指標です。

年度 売上高
(ウォン)
営業利益
(ウォン)
純利益
(ウォン)
店舗数
(推定)
2022 3兆6495億 2617億 1911億 約1400店
2023 3兆7300億 2620億 1980億 約1450店
2024 3兆9689億 3712億 2800億超 約1500店

この数字から読み取れるのは、「独立」以降も売上・利益が着実に成長しているという事実です。特に2024年は営業利益が前年比で40%以上増加しており、経営効率も高まっていることがわかります。

韓国ダイソー、独立後の好調の一因はコスメにあった 

韓国ダイソーの好調の鍵は、独立後も強化されたコスメ事業にあります。日本のダイソーとは一線を画し、韓国の有名コスメブランドとのコラボレーションを積極的に展開。これにより、「VT」のリードルショットや「CLIO」の姉妹ブランドなど、デパコスやロードショップコスメに劣らない高品質な商品を、驚くほど手頃な価格で提供しています。

SNSでの口コミ効果も相まって、安価でトレンドを取り入れたコスメが「プチプラ」の枠を超えて人気を集めました。この戦略は、若者や観光客を含む幅広い顧客層の獲得に成功し、韓国ダイソーの成長を力強く牽引しています。高品質かつ低価格なコスメは、独立後のブランドイメージを確立する上で不可欠な要素となりました。

独立後「業績悪化」と言われる理由は?

一部で「独立後に業績悪化」と噂される背景には、消費者体験や海外戦略での課題があります。例えば、韓国国内では商品の品質に関するクレームが増加していると報じられています。これにより「ブランド力低下ではないか」と懸念する声が広がったのです。

また、中国市場からの撤退など、海外展開での失敗も「悪化」の印象を与える要因となっています。ただし、これらは売上全体に占める割合が小さく、決算上の大きな悪化要因にはなっていません。つまり「局所的な課題」を「全体的な業績悪化」と混同しているケースが多いと考えられます。

独立後の「韓国ダイソー」の注目すべき点

韓国ダイソーは独立後も成長を続けていますが、今後も安心とは言えません。まず懸念されるのは、日本ダイソーが韓国市場に再参入する可能性です。日系ブランドが低価格市場で競合すれば、価格競争が激化することは避けられないでしょう。

また、原材料費や人件費の上昇といったマクロ要因も無視できません。さらに、消費者が品質や安全性に敏感になっている現状では、クレーム対応や商品管理の徹底が必須です。韓国ダイソーにとっては、成長を維持するために「低価格+品質保証」の両立が今後の最大の課題になると考えられます。

まとめ

韓国ダイソーは日本から独立したものの、直近の決算を見る限り「業績悪化」という表現は事実ではありません。むしろ売上・営業利益ともに増加傾向を示し、経営は安定しています。

ただし、海外戦略や品質クレームへの対応などのリスクは残されており、今後も動向を注視する必要があります。皆さんの知りたかった「本当に業績が悪化したのか?」という問いに対しては、「数字上は悪化していない」という結論になります。

【追記】独立後の韓国ダイソーの闇?利益至上主義

韓国ダイソーは2023年に日本ダイソーとの資本関係を解消し、独立後は経営の自由度を高めつつ急速に拡大を遂げました。その成長を支えたのは、徹底したコスト削減と効率化を重視する「利益至上主義」です。売上と営業利益は年々拡大し、2024年には過去最高を更新しましたが、その裏で品質管理の空洞化や消費者相談の急増といった課題も顕在化しています。

「韓国ダイソー業績好調の裏側に潜む、労働者と協力会社への圧力と搾取とは?」こうした実態については、詳しくはこの記事でご紹介しています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 韓国ダイソーはいつ日本から独立した?

A. 2023年末、日本側の持株売却により完全に韓国資本となりました。

Q2. 独立後に業績は悪化した?

A. 公開決算では売上・営業利益ともに増加しており、業績悪化の事実は確認できません。

Q3. なぜ独立後に経営が悪化したと噂される?

A. 中国市場撤退や品質クレームなど局所的課題が報じられ、誤解が広がったためです。

Q4. 韓国ダイソーが独立後も韓国内でダイソーの商標を持っている理由は?

韓国ダイソーは、日本の大創産業と提携する以前から、韓国内で「ダイソー」の商標を独自に登録していたため、独立後もその商標を使い続けることができます。日本の大創産業との提携は、経営への介入をなくす代わりに、ロイヤリティを支払わずに「ダイソー」の商標を使用するという独特な契約でした。

これにより、韓国ダイソーはブランド名を広めながらも、商標権を自社で保持し続けました。日本の大創産業からの出資を引き上げた後も、この商標権は有効であり、韓国ダイソーは「アソンダイソー」として韓国で独自に事業を展開しています。この商標権は、2012年の訴訟でもその正当性が認められており、韓国における「ダイソー」ブランドは、法的にアソン産業に帰属しています。

Q5. 韓国ダイソーの正式名称は?

韓国ダイソーの正式名称は、アソンダイソー(아성다이소)です。
これは、韓国での事業主体である「アソン産業(아성산업)」と日本の「ダイソー」を組み合わせた名前で、元々は日本の大創産業と提携して「アソン大創」という名称でした。現在も会社名には「アソン」が含まれていますが、一般的な店舗名としては単に「ダイソー(다이소)」として知られています。

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参考にした情報元(資料)