韓国ダイソーの業績好調の裏にある利益至上主義とは

韓国ダイソーは2024年、売上高 約3.9689兆ウォン を記録し、前年比14.6%の増加を達成しました。営業利益は 約3,711億ウォン、前年比 41.8%増 で、営業利益率は 9.35% に達しています。

業績好調の背景には、コスト削減や効率化を徹底する「利益至上主義」があります。しかし、この戦略が行き過ぎると、消費者にとっての「商品品質」や「安心感」が犠牲になるケースが見られます。

アソンダイソーの主要財務実績(2020~2024年)

年度 売上高(億ウォン) 営業利益(億ウォン) 営業利益率(%)
2020年 24,216 1,738 7.18
2021年 26,000 2,838 10.92
2022年 29,458 2,393 8.12
2023年 34,605 2,617 7.56
2024年 39,689 3,711 9.35

数字だけを見ると、韓国ダイソーは売上・利益ともに順調に成長しています。しかし、その裏では消費者からの苦情や品質問題が顕在化しています。

ダイソーからの独立がもたらした品質低下

韓国ダイソーは2019年に日本ダイソーとの資本関係を解消し、独立路線を進めました。自由度が増した一方、日本式の品質管理や開発ノウハウが途絶えたことが、品質低下の一因となっています。

日本ダイソーは、製造工程のチェック体制や商品の均質性にこだわり、低価格でも一定品質を維持してきました。独立後の韓国ダイソーでは、低価格を維持しつつ商品ラインを急拡大した結果、品質確認の精度が下がり、ばらつきのある製品が市場に出回るケースが増加しました。

この独立による管理体制の変化が、消費者相談の増加や健康補助食品トラブルの背景に影響しています。

消費者相談の急増と品質低下の現実

韓国消費者院によると、2024年に寄せられたダイソー関連の相談件数は 504件、前年比 59%増 でした。そのうち 品質に関する苦情は157件 と最も多く、全体の約3割を占めています。

苦情内容

  • 購入直後に破損する日用品
  • 表示と実際の仕様が異なる生活雑貨
  • 素材劣化や耐久性の問題

返品・交換対応の不備も指摘されています。MK News

品質低下が起きる背景

  • 低価格維持のためのコスト削減圧力
  • 商品ライン急拡大による管理不足
  • 製造拠点の分散による品質ばらつき
  • アフターサービス体制の不備

独立による管理体制の変化も加わり、短期利益の追求と品質低下の相乗効果が生じています。

健康補助食品をめぐるトラブル

品質問題は生活雑貨だけでなく、2025年3月には健康補助食品で 成分表示の不備販売許可の問題 が発覚し、販売中止となりました。Korea JoongAng Daily

消費者の健康に直結する問題であり、低価格戦略だけでは対応できない領域です。

利益を守りながら信頼を回復するためにするべきこと

  • 第三者機関による品質検査導入
  • 商品情報の透明化(特に食品・健康関連)
  • 返品・交換対応の迅速化とルール明確化
  • 製造委託先への教育と監査強化

短期的利益だけでなく、安さ+信頼性 を両立するブランドへの転換が求められます。

まとめ

韓国ダイソーは2024年に過去最高の売上と営業利益を記録しましたが、独立による管理体制変化利益至上主義の影響で、消費者相談の急増や品質低下、健康補助食品の問題が発生しています。

今後は、低価格戦略を維持しつつ、品質・透明性・消費者対応を強化することがブランド価値維持の最大課題です。

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