はじめに

2025年12月、自民党と日本維新の会(維新)が、衆議院議員の定数を約1割削減することで合意した。これを受け、「ベテラン議員である石破茂氏の選挙区が消えるのでは?」といった憶測がネット上で急拡大中だ。特にある動画では「鳥取県の選挙区が合区され、石破氏の地盤が物理的に消滅する危機」というショッキングな見方も提示されている。しかし、このような主張の多くは“推測”であり、現時点では確定情報ではない。本稿では、定数削減の“現実的な内容”を整理しつつ、「石破氏の選挙区が消える可能性」はどこまで現実味があるのかを冷静に分析する。

背景 ― なぜ今、議員定数削減が注目されているか

・2025年10月、自民党と維新は連立協議を行い、衆院議員定数の1割削減を連立合意書に明記。
東京財団政策研究所
・11月25日には党内の「政治制度改革本部」が協議を前進させる旨を確認。
自民党公式ニュース
・改革推進の背景には、人口減少や地方の過疎化、政治コスト削減を求める国民の声がある。
東京財団政策研究所

定数削減案の中身 ― どのように削られる可能性があるか

現在の衆議院定数は合計465議席(小選挙区 289、比例代表 176)である。
Wikipedia: House of Representatives

・小選挙区で25議席、比例代表で20議席の削減が軸となっている。
FNNプライムオンライン
・合意に至らない場合に備え、削減を自動発動させる条項を法案に盛り込む方向。
名古屋テレビニュース

石破茂の選挙区は本当に消えるのか?――可能性の分岐と条件

まず押さえるべき前提として、現時点で「石破茂氏の選挙区が消えることが確定」したわけではない。
以下の条件が揃った場合に“起こりうる”だけであり、確定ではない。

選挙区消滅の条件

条件 内容
地域の人口減少または過疎化 人口減少が大きい地域は削減対象になりやすい可能性がある
区割りの「合区」・統廃合 複数選挙区を統合する場合、現行の選挙区が消滅する可能性がある
小選挙区削減が比例削減と併用される場合 比例削減のみなら影響は小さいが、合区が行われれば選挙区喪失の可能性が生じる

ネット上で語られている主張は、このような条件を前提とした「シナリオのひとつ」に過ぎず、確定情報ではない。

世論とネットでの議論 ― “動画・SNS”で拡散する懸念

今回の定数削減について、動画やSNSでは次のような声が広がっている。

・鳥取の選挙区が合区され、石破茂氏の地盤が消滅するのではないか
・政治的な“狙い撃ち”ではないか
・地方の声が国会に届かなくなるのではないか

とくに一部動画では、鳥取県選挙区が「物理的に消滅する可能性」として語られ、不安が煽られている。しかしこれはあくまでも“推測”であり、現時点で裏付けがある情報ではない。

定数削減に対する論点と懸念 ― 民意の反映、多様性、地域代表

賛成の主張

・国会議員数を減らし、政治コストを削減するべきだ
・人口減少時代に合わせて議席配分を見直すべきだ
・制度改革を通じて政治の質を向上させるべきだ

懸念・反対の主張

・比例削減で少数政党・地域政党の声が届かなくなる
・地方代表が弱まり、都市偏重になる可能性
・多様な意見を反映できなくなる危険性

有権者として知っておきたいこと ― 今後どう注視すればよいか

・法案の具体的な削減方法(合区か比例か)を随時確認すること
・住んでいる地域の人口動向や議席維持の議論を注視すること
・地元自治体や地方議員の発信を定期的に確認すること
・国会での議論(制度改革・比例削減)を追っていくこと

結論 ― 石破茂の選挙区消失は「可能性あり」だが「確定ではない」

現時点で明らかになっているのは次の事実だけだ。

・自民・維新が衆院定数1割削減で正式に合意していること
FNNプライムオンライン

・削減の対象、合区、比例区削減の割合などは“未定”であること
今後の与野党協議と人口データにより大きく変動する。

したがって、石破氏の選挙区が消えるというのはあくまで
「起こりうるシナリオの一つであり、確定情報ではない」。
今後の制度改革の動向を引き続き注視していく必要がある。

参考資料(報道・公的ソース)