外国人による土地購入規制はなぜ必要なのか?

世界各国が外国人による土地取得に対して規制を設けるのは、国家の安全保障、経済主権の維持、土地の高騰抑制といった目的があります。とくに水源地・農地・軍事施設の近辺では、安全保障上の観点から、外国人による土地取得は国家のリスクとみなされます。

たとえば、自国の水資源や食料供給に直結する農地を外国勢力が所有すれば、将来的に主権の一部を失う危険性が出てきます。また、不動産価格の高騰が起これば、国民の居住環境にも影響を与えかねません。

そのため、世界では多くの国が法整備を進め、外国人による土地購入に対する制限や禁止措置を強化しています。

外国人土地購入を禁止・制限している主な国一覧(2025年最新版)

国名 規制内容 詳細・条件 規制開始年
中国 外国人による土地購入禁止 土地は国家所有。外国人は原則取得不可 2017年
インドネシア 農地・森林地の購入禁止 都市部の物件は一部条件付きで可 2018年
タイ 外国人の土地所有禁止 コンドミニアムは購入可能だが土地は不可 1937年(現行法)
フィリピン 外国人の土地所有禁止 長期リース契約(最大50年)での利用は可能 1935年(憲法)
ベトナム 農地は外国人禁止 都市部の土地使用権は期限付きで許可 2014年

日本はなぜ外国人に土地を自由に売っているのか? そのリスクと背景

日本は先進国の中でも珍しく、外国人による土地購入に明確な制限を設けていません。外国人も日本人と同じように不動産(土地・建物)を購入でき、登記も可能です。購入時の国籍確認も不要で、税制もほぼ同じです。

しかし、これにより以下のようなリスクや問題が指摘されています。

  • 防衛施設周辺や水源地の買収
    → 北海道、長野、沖縄などで外国資本による買収が相次ぎ、安全保障上の懸念が浮上。
  • 災害対応の妨げ
    → 災害発生時に、誰が所有者か特定できないケースが増加。
  • 地域社会との摩擦
    → 言語・文化の違いによるトラブル、空き地の放置など。

政府は2021年に「重要土地等調査法」を施行し、防衛施設や原発周辺の土地取引を事後的に調査できるようになりましたが、購入自体を禁止する法律ではありません

比較表:外国人土地購入規制の国際比較

項目 日本 中国 フィリピン ベトナム
外国人の土地購入 原則自由 禁止 禁止 制限付き可
規制法の有無 調査法のみ 国家所有制 憲法で禁止 土地使用権制
安全保障への配慮 弱い 強い 強い 中程度

世界では規制強化が進む中、日本は取り残されている?

アメリカやオーストラリアなどの先進国でも、外国人による土地取得を一部制限しています。たとえばオーストラリアでは、外国人が中古住宅を購入するには厳しい条件が課され、新規住宅に限るケースが一般的です。

一方、日本は法整備の遅れから、戦略的に重要な土地が外資に売却されるケースが続出しています。特に中国資本による森林や水源の買収が報道され、国民の不安が高まっています。

このような状況が続けば、日本の重要インフラや環境資源が徐々に国外に握られていく可能性も否定できません。

外国人が土地を取得できる国・できない国の違いとは?

投資家にとって、土地取得可能な国かどうかは非常に重要です。以下は、外国人の土地取得を「自由」「制限」「禁止」に分類した参考例です。

分類 該当国
自由 日本、マレーシア、カナダ、アメリカ(一部州)など
制限あり ベトナム、インドネシア、タイ(法人名義で可)など
禁止 中国、フィリピン、ミャンマーなど

それぞれの国で「使用権」や「リース契約」など、土地取得に代わる制度も存在します。海外不動産投資を検討する際は、必ず現地の不動産法と税制を専門家と確認することが必要です。

今後、日本は規制を強化すべきか?【まとめ】

外国人による土地購入を禁止・制限している国が増える一方で、日本は依然として原則自由。これは国際的には異例の状況であり、国家としての防衛、災害対策、資源保護の観点から見ても、大きな課題をはらんでいます。

2025年現在、日本がすべきことは以下のとおりです:

  • 規制の明文化と罰則の整備
  • 重要地域の購入制限や審査制の導入
  • 土地所有者の国籍・資本構造の把握義務化

海外不動産投資を考える方も、日本国内の状況と海外の規制を比較し、将来的な政策変更に備える視点を持つことが大切です。

参考資料(2025年7月時点で有効)