メガソーラー 環境破壊とは何か?

再生可能エネルギーの一環として注目を集めてきたメガソーラー。しかし、環境保護の視点からは、森林伐採や水害リスクの増加、生態系の破壊といった重大な問題も浮かび上がっています。特に日本各地で自然景観を損なう形で設置が進められており、地域住民や環境保護団体からの反対運動も広がっています。

環境破壊が問題視されるメガソーラーの事例

北海道・釧路湿原周辺

  • 現状:2025年1月末時点で561ヵ所以上のメガソーラー施設が設置され、1,000kW以上の大規模発電が増加中。
  • 影響:オジロワシ、タンチョウ、キタサンショウウオなどの絶滅危惧種への生息環境悪化が懸念されている。
  • 対応:釧路市は2025年6月に「ノーモア・メガソーラー宣言」を発出。規制条例案が9月に提出予定。

熊本県・阿蘇(山都町)

  • 概要:草原地帯に8万kW規模の太陽光発電所(約20万枚のパネル)が建設。九州最大級。
  • 問題点:国立公園に隣接する草原地帯が黒いパネルで覆われ、景観と生態系が喪失。
  • 制度の穴:国立公園内の「普通地域」では届出のみで開発可能な制度を悪用。

長崎県・宇久島

  • 計画規模:島全体の約1/4(約800ha)をメガソーラーにする大規模開発。
  • 環境への影響:森林伐採や外来種の侵入が懸念され、景観破壊も深刻。

福岡県・添田町

  • 実害発生:斜面設置型のメガソーラーで大雨時に土砂災害が発生。住民と事業者間のトラブルに発展。

静岡県・熱海市

  • 開発背景:山間部での森林伐採によるパネル設置が行われている。
  • 問題点:保水力の低下による水害リスクが高まり、災害との因果関係が指摘されている。

鹿児島県・肝付町

  • 地域的役割:九州南部の再生可能エネルギー拠点としてメガソーラー導入。
  • 課題:景観の損失や環境への配慮の不足が住民から指摘されている。

岐阜県・飛騨市

  • 特徴:山間部に複数のメガソーラーが設置されており、自然との共生が求められる。

北海道・苫東厚真

  • 現状:広大な土地を活用したメガソーラーおよび風力発電施設が混在。
  • 影響:開発による動植物の生息域縮小や土壌流出の懸念がある。

北海道・石狩市

  • 特徴:海岸線沿いに広がるメガソーラー群で、北海道内でも最大級の規模。
  • 環境課題:野鳥の飛来地として重要な地域であり、繁殖環境への影響が指摘されている。

メガソーラー開発がもたらす主な環境影響

環境影響項目 内容 影響度
森林伐採 生態系・保水力の喪失
景観破壊 観光資源や文化景観の損失 中~高
土壌流出・水害 保水力低下で土砂災害リスク増
生態系破壊 絶滅危惧種の生息地減少 非常に高
地元住民との摩擦 合意形成の不備、健康被害

こうした問題を防ぐためにすべきこと

  • 環境アセスメントの義務化強化:出力規模にかかわらず、全ての開発に環境影響評価を義務付ける。
  • 条例による規制整備:地方自治体による独自規制の整備を促進(例:釧路市の条例案)。
  • 住民説明と合意形成の徹底:開発前に十分な説明責任を果たし、地域との信頼構築を図る。
  • 国立・国定公園での開発制限:「普通地域」でも厳しい審査・制限を設ける。
  • 自然回復力のある土地への誘導:湿原・草原ではなく、既に開発済みの工業地や遊休地を優先利用。

参考資料