はじめに

SNSや動画サイトで「マンボウが食べられても生きている」という衝撃映像が話題になっています。
あまりにも信じられない生命力のため、「これはAI動画では?」と疑われるほどです。

しかし、この映像は単なるフェイクではなく、マンボウの特異な体構造や生態が生み出す驚くべき生命力を映し出している可能性があります。
本記事では、話題の動画を軸に、マンボウの生態・捕食されても生きられる理由・噂の真偽まで、科学的根拠と共に詳しく解説します。

【恐怖?映像】「マンボウは食べられても生きてる?」

※ファイヤーフォックスのブラウザで見た場合には、動画が表示されない場合がございます。

1. なぜ「マンボウは半分食べられても生きてる」という噂が広まったのか?

マンボウに関する噂は昔からネットで話題になり、漫画・ミーム・SNSによってさらに加速しました。以下に噂が広まった主な理由をまとめます。

理由 内容
背びれの誤認識 水面に背びれが出ているだけで「サメにかじられた?」と誤解される場合がある
都市伝説化 マンボウの生態が一般に知られておらず、誇張話が一人歩き
ミーム文化 ネットで「マンボウ=弱い」というキャラ付けが定着
科学情報の単純化 身体構造の特異性が“強いのか弱いのかよくわからない”印象を与える

2. マンボウとは?基本の生態

マンボウ(学名:Mola mola)は、世界最大級の硬骨魚として知られる巨大魚です。丸みのある平たい体に尾びれがほぼ存在せず、まるで「泳ぐ大きな板」のような特異な見た目をしています。

生息域

世界の温帯〜熱帯の外洋に広く分布し、日本近海でも頻繁に確認されます。外洋を漂うように生活するため、生態の詳細はまだ研究段階にある部分も多く、謎が多い魚でもあります。

食性

クラゲを主食としているイメージがありますが、近年の DNA 解析によって以下のように多様なものを食べることがわかってきました。

  • クラゲ
  • 小型魚
  • イカ
  • 甲殻類
  • ゼラチン質生物全般

柔らかいものしか食べられないというより、機会的に多様な餌を口にする外洋の大型雑食魚です。

行動

マンボウは浮上・潜行を繰り返す行動をとり、水面に横になって浮かぶ “サーフェシング” と呼ばれる姿もよく観察されます。これは、深海で冷えた体を温めるためと考えられています。

3. 話題の動画:頭を大きく食べられたマンボウが泳いでいた理由

冒頭で触れた オットセイに頭部を大きくかじられたまま泳ぐマンボウの動画は、誰が見ても衝撃的です。
しかし、マンボウが大きな欠損を負っても短時間なら泳ぎ続けられる理由には、体の構造神経系の特徴が大きく関係しています。

3-1. マンボウの体は “骨ではなく厚い皮と軟骨” が中心

マンボウの体の多くは柔軟な組織で構成されており、部分的に欠損しても体全体のバランスはある程度保たれます。

3-2. 推進力は主に「背びれ」と「腹びれ」

頭部が損傷しても、主要な推進源である背びれ(ドーサルフィン)と腹びれ(アナルフィン)が残っていれば、前進自体は可能です。

3-3. 生き続けている=無傷という意味ではない

動画で泳いでいるからといって、「マンボウは食べられても平気で生存する」ということではありません。最終的には捕食されてしまうケースもあり、あくまで “耐えている状態” にすぎません。

4. マンボウはサメやオットセイに食べられても生きられるのか?科学的に回答

Q1. マンボウは本当にサメにかじられても生きる?

「生きる場合はあるが、必ず生き残れるわけではない」
マンボウはサメ・オットセイ・シャチなどに襲われることがあります。噛み跡を残したまま泳ぐ例もありますが、致命傷となる例も当然あります。

Q2. なぜそんな噂が広まった?

背びれの誤解、ネット文化、都市伝説化、誇張表現の拡散などが複合的に作用したためです。

Q3. マンボウは絶滅の危機にあるの?

IUCN では「脆弱(Vulnerable)」の評価があり、混獲や海洋汚染などが脅威となっています。

5. 噂に惑わされず「マンボウの生態」を正しく理解するためにするべきこと

  • 科学的な情報を発信する公的機関・研究機関の資料を読む
  • 動画やSNSの噂は “話題性” と “科学的事実” を分けて見る
  • マンボウの生息環境や保全の課題を知り、誤解を広めない
  • 子どもや周囲に“正しい情報”として共有する
  • 海洋保全団体の展示・資料をチェックする

これらを意識するだけで、単なる都市伝説ではなく、海の生態を正しく楽しめる視点が身につきます。

6. まとめ:マンボウは「食べられても生きてる魚」ではなく、生態の誤解が招いた噂

・マンボウは欠損した状態でも短時間は泳げる

・しかし「必ず生き続けられる」わけではない

・特異な身体構造や行動が噂の元になった

・正しい生態を知ると、噂以上に興味深い魚であることがわかる

今回話題となった動画も、誇張ではなく “海で生きるマンボウの過酷さ” を示す貴重な瞬間だと言えます。

参考にした情報元(資料)