日本人とマグロの繋がりは深く、マグロは縄文時代から食べられてきたそうです。
ですが生のマグロの身は痛みが早かった為に、生で食べる歴史は比較的浅かったようです。
今では冷蔵技術が発展しているので、日本全国で生でマグロを食べることができます。
しかし、江戸時代などは冷蔵庫はありません。そうすると生でマグロを食べることは困難です。
そこで昔の人は醤油にマグロをつけて鮮度を保つ方法を開発しました。これこそ今でも人気の調理方法であるマグロのヅケです。
マグロは痛みやすい赤身だったからこそ、昔の人は色々な工夫をして多くの人がその味を楽しめるように工夫していました。
このような昔の人の工夫が、今でもマグロの人気を支えているのかもしれません。
刺し身や寿司に限らず、年配の人はあっさりした食べ物を好む傾向にあります。逆に若い人は脂ののった、こってりとしたカロリーの高い食べ物を好みますよね。
もちろんこの傾向は寿司にも当てはまります。そしてマグロの大トロなどは脂が凄く乗っていて、若い人には非常に人気な部位でもあります。
ですが肉の脂身は苦手という年配の方でも、マグロの脂身は大丈夫という方も珍しくありません。
「料理は味も大切だが、見た目はもっと大切」と言われます。特に日本人は料理の見た目を重視する傾向にあるものです。
そして料理の見た目を最も左右する要素として色が挙げられます。色鮮やかな料理は、老若男女の多くな人を虜にするものです。
特に料理を美味しく見せる色として代表的なのが赤い色です。料理の中に赤い色の食材があるだけで食欲がそそられてしまいます。
そう考えるとマグロの赤身は、非常に食欲をそそる色と言えるでしょう。
お寿司のお店で、鯛やイカ、ヒラメなどの白身魚の中にマグロの赤身はまさに紅一点と言えるのかもしれません。
一昔前までは、お寿司というと高級な食べ物でした。しかし1958年に日本で初めての回転寿司のお店ができて以降は一般庶民の食べ物へと変化していきました。
例えば寿司の高級店で、マグロを頼むことを想像してみて下さい。ちょっと値段的に怖くなってきませんか?
実際に東京銀座のある高級寿司店で、ホンマグロの中トロが1貫6千円もしたことがあるそうです。
ちょっと極端な例を出してしまいましたが、回転寿司のチェーン店が沢山できたおかげて私達は安くお寿司が食べられるようになったと言えるのかもしれません。
ちなみに現在回転寿司チェーン店(小僧寿しの場合)でしたら1貫270円程でホンマグロの中トロを食べることができます。
高級寿司店の「1貫6千円」に対して回転寿司店の「1貫270円」。その差は22倍です。
ではなぜ、回転寿司のチェーン店は「ホンマグロの中トロ」などマグロをこんなにも安く提供できるのでしょうか?
それはお寿司屋をチェーン店にすることで大量販売網を手に入れたからです。そうすることで大量仕入れと大量販売が可能にないました。
つまり大量仕入れをすることで材料費(原価)を抑えることに成功したのです。
※回転寿司チェーン店の場合、原価の低いツナマヨ、コーンなどを販売することでもコスト削減に成功しています。
マグロと言えば、ホンマグロという種類をよく耳にすると思います。先程ご紹介したようにホンマグロは高級魚なので「1貫6千円」という値段になってしまうこともあります。
ですがマグロという魚は「ホンマグロ」の1種類だけではありません。マグロには「ミナミマグロ」「メバチマグロ」などのマグロだっているのです。
・ミナミマグロ(インドマグロ)
・ホンマグロ(クロマグロ)
・メバチマグロ
・キハダマグロ
・ビンチョウマグロ(ビンナガマグロ)
例えば回転寿司チェーン店で「ホンマグロ」と表記のないマグロのお寿司は、上記のような他の種類のマグロを使っていると考えた方が良いでしょう。
皆さんもご存知の通りマグロは非常に体長大きな魚です。そのことも関係して体の部位によって全く違う味がする特殊な魚です。
その為「マグロが好き」だという人も「どの部位が好き」だと、好みが分かれる場合もあるのです。
例えば「大トロ」ならば脂がガッツリ乗っていますが、反対に「赤身」は非常にあっさりとした味わいといった具合にです。
・大トロ:マグロの中で最も脂の乗った部位です。
・中トロ:腹身と背身の部分で適度に脂の乗った部位。
・赤身:脂が少なく、あっさりとした部位です。
・中落ち:中骨の周りの骨についている部分、脂が乗っており人気の部位です。
・脳天:まぐろの頭のてっぺんにある部位「つのとろ・ツノトロ」とも呼ばれます。
・ほほ肉:マグロの希少部位、肉のような食感とトロのような旨味を合わせ持つ。
・カマ:エラの後ろの部位で大トロと同じくらい脂が乗っており、濃厚なうまみが特徴です。
・カマトロ:カマの中でも、さらに脂が乗っている部位のこと。
マグロの会見的な特徴と言えば、あの大きな体長です。ホンマグロの場合、体長は3m、体重も400kg以上に達する場合もあります。
ちなみに過去釣り上げられた世界最大と言われる超巨大マグロは体長458cm、体重684kgもあったそうです。
マグロは体長が非常に大きいだけに、見た目のインパクトが普通ではありません。
その為「マグロの解体ショー」が人を集めるイベントになってしまう程です。
その人気はとどまることを知りません。現在では「マグロの解体ショー」を専門で請け負う「マグロの解体ショー」の会社まであるようです。
マグロは通常時速30~60kmで泳いでいます。しかし本領を発揮して泳ぐと最高速度が160kmになるそうです。
160kmと言うと高速道路で走行する自動車よりも早い速度です。ちなみに山形や秋田のミニ新幹線(時速140km)よりも早い速度です。
「マグロは泳ぐのをやめると死んでしまう」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。
実はこれは本当のことで、マグロは常時口を開けて泳いでおり、口からエラを通過する海水から酸素を取り入れているのです。
つまり「泳ぐ」=「呼吸」となっているのです。その為に「マグロは泳ぐのをやめると死んでしまう」のです。
驚いたことに江戸時代の人は大トロや・トロの部位を捨てていたそうです。
なぜならば江戸っ子は脂っぽい食べ物を嫌う傾向にあったからだそう。
さらに江戸時代には「マグロ」は、猫でも食べないという理由で「猫またぎ」と呼ばれバカにされていたのです。
今ではマグロは高級魚の部類に入るのに、これはいうことなのでしょうか?
それは単純に江戸時代などの昔には魚の冷蔵保存技術が発展していなかったからだと考えられます。
例えばマグロなどは、遠洋漁業で遠方の海域から漁師の人が釣ってきますよね。
その為に市場に着いて、食卓に届く時にはマグロの身が傷んだ状態になるからです。
特にマグロのような赤身の魚の場合は、常温の状態では白身の魚よりも早く傷んでしまいます。
このような理由から、江戸時代にはマグロを醤油などに付けて保存生を高める方法を開発しました。
ですが、大トロやトロの部分は非常に脂が乗っているので、醤油を弾くことからヅケには向かない部位だったのです。
その為に江戸時代では、大トロやトロを捨てていたのです。まさに「時代も変わればトロの扱いも変わる」ということですね。