はじめに
「子ども家庭庁って本当に必要なの?」
2023年4月に発足した子ども家庭庁は、少子化対策や子育て支援の一元化を目的としています。しかし、ネット上や一部メディアでは「いらない」という声が広がっています。本記事では、なぜ子ども家庭庁が批判されているのか、その理由を深掘りし、同時に制度の本来の役割や改善に向けて私たちができることを解説します。
子ども家庭庁が“いらない”と言われる理由5つ
1. 予算が膨大すぎるのに成果が見えない
子ども家庭庁には年間7兆円以上の予算が割り当てられていますが、少子化の歯止めにはつながっていないとの指摘が多くあります。巨額の予算にもかかわらず出生率の改善は見られず、「何のための予算なのか」という疑問が噴出。結果として、「税金の無駄遣い」と批判する声が強まっています。
項目 | 金額(概算) |
---|---|
年間予算 | 約7兆円以上 |
少子化対策費 | 約3兆円 |
広報費・人件費 | 数百億円規模 |
ポイント:使途が国民にとって不透明で、成果が数値で示されていないことが問題視されています。
2. 利権やポストが増えただけという批判
「新しい庁を作っただけで、大臣、副大臣、政務官などのポストを増やしただけでは?」という声もあります。組織再編の目的が「本当に子どもや家庭のため」なのか、それとも「政治的な都合」なのか疑問視されています。実際、過去にも同様の官庁再編でポストや予算が膨張する一方、現場の改善が伴わなかった事例があるため、国民の不信感が高まっているのです。
3. 制度が複雑で中間コストが発生している
子ども家庭庁は「省庁横断」を掲げていますが、実際には各部署からの権限移譲が不十分で、複雑な仕組みになっています。そのため、補助金や委託事業で中間団体による再委託(いわゆる中抜き)が発生する構造が問題視されています。これにより、本来支援を受けるべき家庭への還元率が低くなる恐れがあります。
4. 短期的な成果を重視しすぎている
政府は「子ども家庭庁で少子化を食い止める」という目標を掲げていますが、短期的な数値目標を重視するあまり、根本的な問題(教育費、保育環境、労働条件の改善)に対する長期的な投資が不足しているとの指摘があります。
結果として、「その場しのぎの施策ばかり」という印象を与え、国民から信頼を得られていません。
5. 縦割り行政の壁を完全に崩せていない
子ども家庭庁の狙いは「縦割り打破」でしたが、厚生労働省や文部科学省との連携は依然として課題です。予算執行や政策決定の過程で各省庁の力学が働き、思ったほどの一元化が実現していないのが現状です。
「結局、名前だけ変わって中身は変わっていない」という批判が生まれる背景には、この調整不足があります。
一律給付でよいのでは? その問題点
「子育て支援なら現金を一律給付すればいいのでは?」という意見もあります。確かにシンプルで公平に見えますが、一律給付には問題があります。所得格差を考慮せずに一律配布すると、本当に支援を必要とする家庭に手厚いサポートが行き届かず、結果的に効率が悪くなります。さらに、経済学的には“死重損失”が生じ、財政に大きな負担を与える恐れがあります。
子ども家庭庁の設立目的と期待された役割
本来、子ども家庭庁の目的は「子どもの権利保障」「虐待防止」「少子化対策」の3つを柱に、従来の縦割り行政を解消し、包括的な支援を提供することでした。少子化や児童虐待といった課題は、教育、福祉、医療、労働と幅広い領域に関係します。そのため、中央集権的に統合した組織の必要性が叫ばれたのです。
しかし、設立から1年以上経過した現在でも、その実効性に対しては厳しい評価が続いています。
まとめ:今、私たちがするべきこと
- 政府への意見提出:パブリックコメントを通じて政策へのフィードバックを行う。
- 地域レベルでの声の共有:地方議員や自治体への意見を届ける。
- SNSやコミュニティで議論:冷静な事実ベースの議論を広げ、偏った情報拡散を防ぐ。
- 選挙での意思表示:少子化対策や子育て政策を争点として重視する。