報道ステーションのダッチアングルとは何か

報道ステーションで使用されたダッチアングルが、偏向報道ではないかとして大きな議論を呼んでいます。問題となったのは、2026年2月9日放送回です。この放送では、高市総理が進退をかけて臨んだ総選挙で大勝した直後の政治報道において、映像が明確に傾けられた構図が確認されました。

ダッチアングルとは、カメラを意図的に傾けることで、不安定さや違和感、緊張感を視覚的に強調する映像技法です。映画やドラマでは心理状態の表現として頻繁に用いられますが、報道番組で使われた場合、その意味合いは大きく変わります。報道は事実を正確に伝え、評価は視聴者自身に委ねることが原則とされているためです。

今回の放送では、政治的に極めて重要な局面と重なった形でダッチアングルが使われたことから、「なぜこの場面で傾ける必要があったのか」「通常の正対構図では伝えられなかったのか」という疑問が視聴者の間で一気に広がりました。問題の核心は、映像技法そのものではなく、政治報道という文脈において、視聴者の感情に影響を与えかねない演出が選択された点にあります。

【動画】報道ステーションのダッチアングルの様子

なぜダッチアングルが偏向報道と受け取られたのか

ダッチアングルが偏向報道と受け取られた背景には、人間の無意識に働く心理的な影響があります。映像が傾いているだけで、人は対象に対して「不安定」「信用しにくい」「危うい」といった印象を抱きやすくなります。これは意図の有無に関わらず作用する効果です。

2026年2月9日の報道ステーションでは、選挙で大勝した直後という、政治的評価が形成されやすいタイミングでダッチアングルが用いられました。その結果、事実の説明以上に、人物や状況に対する否定的な印象が上乗せされたと感じた視聴者が少なくありませんでした。

報道側に意図的な操作があったかどうかを断定することはできません。しかし、報道は「どう伝えたか」だけでなく、「どう受け取られたか」も含めて評価されます。今回の演出は、視聴者が冷静に判断するための余白を狭めたと受け取られたため、偏向報道という評価につながりました。

高市批判はなぜ「姑息」と言われ炎上したのか

この問題が急速に拡散した理由の一つが、高市早苗氏への扱いです。高市氏は支持と批判が明確に分かれる政治家であり、報道の仕方によって印象が大きく左右される存在です。

・政策や発言の中身ではなく、映像の雰囲気で評価を下げているように見える
・正面から論点を提示せず、印象操作で否定しているように感じる

といった声が数多く見られました。これらの受け止めが、「姑息」という強い言葉で表現されています。

重要なのは、高市氏の政策や主張が正しいかどうかとは別に、報道の方法が公正だったのかという視点です。人物評価に直結する政治報道において、演出が感情に影響を与えたと受け取られた場合、視聴者の不信感は一気に高まります。今回の炎上は、その構造が可視化された結果だと言えるでしょう。

NHKと同じなのかと比較される理由

今回、報道ステーションがNHKと比較された最大の理由は、過去にNHKで実際に起きたダッチアングル報道炎上と、極めて似た構図が存在するためです。

2025年10月22日放送のNHK「ニュース7」では、日本初の女性総理として発足した高市早苗内閣を報じる特集の中で、映像を傾けたダッチアングルが使用されました。

・内閣発足という晴れ舞台で不安感や嫌悪感を与えている
・公共放送として政治的中立性を欠いているのではないか

といった批判が相次ぎ、ネット上で大きな炎上となりました。

このNHKの事例は多くの視聴者の記憶に残っています。そのため、2026年2月9日の報道ステーションで同様の演出が確認された際、「また同じことが起きているのではないか」「NHKのときと構造が同じだ」という既視感が一気に広がりました。比較が急速に進んだ背景には、この記憶の連続性があります。

過去にも指摘されてきた報道ステーションの偏向報道疑惑

今回のダッチアングルがこれほど強く問題視された背景には、報道ステーションが過去にも偏向報道と受け取られかねない放送を複数回行ってきたという文脈があります。

特定の政治テーマにおいて、発言の一部のみを強調した編集や、否定的な印象が残りやすい構成が続いたことで、「この番組は特定の方向に視聴者を誘導しているのではないか」という疑念を抱いていた視聴者も少なくありませんでした。

そのため、2026年2月9日のダッチアングル演出は、単体の出来事としてではなく、「これまで感じていた違和感が象徴的な形で表れたもの」と受け止められました。視聴者の反発は突発的なものではなく、過去放送の積み重ねによって増幅された結果だと言えるでしょう。

司会者がNHK出身であることへの違和感

今回の件で一部の視聴者が「気持ち悪さ」や違和感を覚えた理由として、報道ステーションのメインキャスターが大越健介氏(NHK出身)である点も挙げられています。

これは個人攻撃ではなく、象徴的な受け止め方として語られているものです。

2025年10月22日のNHKニュース7と、2026年2月9日の報道ステーションという二つの出来事が結びついたことで、「NHKで問題になった報道感覚が民放にも持ち込まれているように見える」という連想が働いた視聴者が一定数存在しました。

報道に対する信頼は、事実関係だけでなく、視聴者の記憶や過去の経験とも密接に結びついています。今回の違和感は、その心理的な積み重なりが表面化した結果だと言えるでしょう。

ネットの反応は正当か、それとも過剰なのか

ネット上の反応は大きく二分されています。

・視聴者が違和感を指摘するのは健全だ
・過剰反応ではないか、演出をすべて偏向と決めつけるのは危険だ

という意見がそれぞれ見られます。

重要なのは、批判の有無ではなく、その内容です。具体的な映像構図や編集意図を指摘した冷静な批判は、民主主義社会において重要な役割を果たします。一方で、意図を断定し、感情的な言葉だけで非難する行為は、問題の本質を曖昧にしてしまいます。

今回の炎上は、報道の在り方を考えるきっかけとして一定の意味を持ちましたが、すべてが建設的だったとは言えません。視聴者側にも、情報を整理し、冷静に受け取る姿勢が求められています。

偏向報道に惑わされないためにするべきこと

偏向報道に振り回されないためには、特別な専門知識よりも意識が重要です。まず、映像と事実を切り分けて考えることです。「何が起きたのか」と「どのように見せられたのか」を分けて考えるだけで、印象操作に気づきやすくなります。

次に、一つの番組だけで判断せず、複数のメディアで同じニュースを確認することが有効です。視点の違いを比較することで、報道の傾向や編集の特徴が見えてきます。SNS上の情報についても、一次情報に当たっているかどうかを確認する習慣が重要です。

報道を疑うことは、社会を否定することではありません。むしろ、健全な民主主義を支えるために不可欠な姿勢だと言えるでしょう。

まとめ:報道を疑う視点こそが健全な社会をつくる

2025年10月22日のNHKニュース72026年2月9日の報道ステーションで起きたダッチアングルを巡る問題は、単なる演出論争ではありません。

過去事例の記憶、番組への不信感、司会者の経歴といった複数の要素が重なり、視聴者の警戒心が一気に高まりました。

重要なのは、特定の番組や人物を断罪することではなく、情報を受け取る側が主体的に考えることです。違和感を覚えた理由を言語化し、複数の視点から確認する。その積み重ねこそが、偏向に左右されない社会をつくります。

報道を疑う力は、私たち一人ひとりが持つことのできる、最も身近で重要なメディアリテラシーなのです。

参考にした情報元(資料)

報道ステーション|テレビ朝日公式サイト
NHKニュース7|NHK公式サイト
ダッチアングル|Wikipedia
高市早苗|Wikipedia