AED 女性 助けないほうがいい——その言葉の背景とは?

「AED 女性 助けないほうがいい」というフレーズは、SNSでの誤情報がきっかけで拡散されました。「女性にAEDを使用したら訴えられる」という内容はセンセーショナルで注目を集めやすく、不安を煽る投稿が繰り返し共有される中で、多くの人が事実として信じてしまったのです。

しかし、警察庁や日本ファクトチェックセンター、AEDメーカー各社の公式見解では「実際に訴訟された事例は確認されていない」と明言されています。消防庁や救命活動に携わる専門家も、女性であることを理由にAED使用をためらうことの危険性を訴えており、「性別関係なく命を救う行動が最優先されるべき」としています。

女性にAEDを使うと訴えられる?法的リスクの実態

AED使用時に「不同意わいせつ罪に問われるのでは」と不安に思う方も多いですが、実際のところ、救命目的でAEDを使用して法的に訴えられたケースは一件も確認されていません。

機関・専門家 見解
警察庁 女性にAEDを使って訴えられた事例は確認されていない。
弁護士 明確な救命目的があれば、不同意わいせつ罪に該当しない。
AEDメーカー(フクダ電子など) 救命措置中のAED使用に法的問題はないと公式見解を掲載。

法律は人命を守る行為を尊重しています。AED使用は正当な応急手当の一環であり、責任を問われる心配は限りなく低いといえます。

女性にAEDを使う際にできる配慮とは?

救命は最優先事項ですが、女性にAEDを使用する際には、できる限りの配慮を行うことも重要です。現場での対応には、以下のような実践的な配慮が可能です。

  • 服をすべて脱がせる必要はない:AEDパッドを貼る部分(右鎖骨下・左脇腹)に素肌が露出していればよく、衣服をずらすだけで十分です。
  • ブラジャーの処理は最小限でOK:肩紐を外してずらすことで、パッドの貼付けが可能。無理に脱がせる必要はありません。
  • 布や上着で目隠し:装着後、タオルや服で体を覆えば、周囲の目からの配慮ができます。
  • 周囲に協力を仰ぐ:女性がいる場合、手伝ってもらうことで双方の心理的ハードルを下げることもできます。

これらの行動により、本人の尊厳を保ちつつ、命を救うという本来の目的を果たすことが可能です。

命を救うために、今すぐできるするべきこと

救命処置を的確に行うには、知識と勇気が必要です。特にAEDの使用場面では、手順を把握しているだけでも自信に繋がります。以下に、一般的なAED使用の手順とポイントを紹介します。

手順 内容
1. 意識と呼吸の確認 呼びかけや胸の動きを確認。無反応なら即行動。
2. 119番とAED手配 周囲の人に協力を要請。AEDを持ってくるよう依頼。
3. 胸骨圧迫を開始 胸の中央を1分間に100〜120回の速さで強く押す。
4. AED装着と指示に従う 電源を入れ、パッドを指示通りに装着。音声ガイドに従う。
5. ショック後も圧迫継続 ショックの指示後も胸骨圧迫を続け、救急隊到着まで対応。

特に重要なのは「迷わず行動すること」です。誰かが倒れている場面で立ち尽くしてしまうと、助かる命も助かりません。AEDの音声ガイドに従えば初めてでも使用は可能です。

女性が倒れていたら?そのときの正しい判断

「女性にAEDを使うのは不安」という気持ちは理解できます。しかしその躊躇が命取りになることもあります。1分遅れるごとに、救命率は約7〜10%低下すると言われています。

もし自分1人での対応に不安がある場合は、以下のような行動を取りましょう。

  • 周囲の協力を即時に呼びかける
  • できるだけ同性(女性)がいれば補助を頼む
  • 人垣や布で配慮を確保する
  • 躊躇せずAEDを使うことを優先する

倒れているのが男性か女性かに関係なく、命が最優先です。「迷ったら救う」という判断が、多くの命を救うカギとなります。

結論:AEDを使うべきか?ためらいより行動を!

「AED 女性 助けないほうがいい」という噂は、事実とは異なる“誤解”です。人命救助において性別で判断してはいけません。法律も、社会も、命を守る行動を後押ししています。

実際に救命に成功した事例の多くでは、「一歩踏み出した人」がいたからこそ命が助かっています。
あなたのその一歩が、誰かの家族や友人、大切な人の命を救うかもしれないのです。

迷ったら、まず動く。その勇気が一番の配慮であり、正しい行動です。

参考情報