はじめに
立憲民主党が「政府提出法案の8割に賛成している」という指摘がSNSなどで広がり、「ステルス自民党」という言葉まで登場しています。この主張は本当なのでしょうか?本記事では、公式データに基づいて事実を整理し、なぜ賛成が多いのかを解説します。そのうえで、有権者が正しく判断するためにするべきことを提案します。
事実確認 — 本当に8割賛成なのか?
立憲民主党が政府提出法案に高い賛成率を示しているのは事実です。たとえば、第211回国会では政府提出法案70本のうち約80%に賛成し、第213回通常国会でも83.3%の賛成率となっています。以下の表に、公式データをもとにまとめました。
国会ごとの賛成率(立憲民主党)
国会回次 | 政府提出法案数 | 賛成数 | 賛成率 |
---|---|---|---|
第211回国会 | 70 | 約56 | 約80% |
第213回国会 | 72 | 60 | 83.33% |
(出典:立憲民主党 政策集2025「内閣」)
この数字を見ると、「8割賛成」という表現は概ね正しいといえます。しかし、数字だけで「ステルス自民党」と断定するのは早計です。その理由を次に解説します。
なぜ賛成が多いのか?背景と理由
1. 法案の性質による合意
国会で扱われる政府提出法案の中には、予算執行や国際条約の批准など、政権交代に関係なく必要なものがあります。こうした法案は「与野党問わず国益優先」で合意しやすい性質を持っています。そのため、賛成率が高くなるのは必ずしも異常ではありません。
2. 戦略的な判断
立憲民主党は「反対ありきの野党」と見られることを避けるため、現実的な判断を取る場合があります。また、対案を出したうえで修正合意した法案に賛成するケースも多く、これが賛成率を押し上げる一因となっています。泉代表も過去の会見で「国民生活に資する法案には柔軟に対応する」と述べています。
「ステルス自民党」と言えるのか?
賛成率が高いこと自体は事実ですが、これをもって「自民党と同じ」と断言するのは難しいでしょう。党の政策綱領や選挙公約は自民党とは異なり、憲法改正や安全保障政策などでは明確に立場が違います。また、法案の性質上、賛否が分かれにくいものが多いことも理由の一つです。
ただし、こうした情報を知らずに「数字だけで印象操作される」リスクは確かに存在します。判断するには、単なる賛否数だけでなく、どんな法案に賛成・反対しているかを確認することが重要です。
有権者がするべきこと
- 公式データを確認する
立憲民主党や国会の公式サイトで、賛否の一覧を定期的に確認しましょう。党の公式ページでは、各国会ごとの賛否が公開されています。
立憲民主党 政策集2025「内閣」 - 法案の中身を読む習慣をつける
見出しやSNSの情報だけで判断せず、実際にどんな政策なのかを確認しましょう。国会会議録検索システムを使えば、議論の内容も把握できます。 - SNSでの情報拡散前に事実確認
情報を拡散する前に「出典はあるか」「日付は最新か」「党公式や新聞報道に一致するか」を必ず確認することが大切です。
よくある質問(FAQ)
Q1:立憲民主党が賛成した法案はどこで確認できますか?
A:党の公式サイトや国会の議案情報ページで確認できます。特に立憲の政調ページでは詳細な賛否一覧があります。確認はこちら
Q2:賛成率80%は異常な数字ですか?
A:過去の野党も賛成率が高い場合があります。法案の性質や与野党協議の結果によって変動します。
Q3:どうすれば誤情報に惑わされずに済みますか?
A:複数の信頼できる情報源を確認すること、SNSだけで判断しないことが重要です。
まとめ
立憲民主党が政府提出法案に「8割賛成」というのは事実ですが、その背景には法案の性質や党の戦略的判断があります。この数字だけで「自民そのもの」と判断するのは危険です。有権者は、賛否の理由や法案の中身を確認したうえで判断することが求められます。