はじめに

「ニトリ 中国 撤退」という検索キーワードが増えている背景には、単なる噂では済まされない急激な変化があります。
結論から言えば、ニトリは公式には中国市場から完全撤退していません。しかし一方で、事実上の撤退に近い状態ではないかという見方が広がっているのも事実です。

この記事では、「完全撤退ではない」という企業の立場と、「実質的には撤退に近い」という外部評価の両方を踏まえた現実的な視点で、ニトリ中国事業の今を解説します。

ニトリ中国撤退は本当なのか?公式見解と実態のズレ

ニトリは現在も中国市場からの完全撤退を公式に否定しています。
ただし、2024年から2025年にかけて行われた動きを見ると、「単なる店舗整理」という言葉では説明しきれないほど、急速かつ大規模な縮小が進んでいます。

実際、2024年1月時点で中国に106店舗あったニトリは、2025年6月末時点で83店舗まで減少しました。わずか半年で23店舗が閉店した計算になります。このスピード感は、通常の業態調整を超えたものです。

ニトリ側はこれを「戦略的再編」と説明していますが、中国メディアや経済評論家の間では、「曲線撤退」「外資小売の撤退トレンドの一例」と受け止める声も増えています。
つまり、公式見解と外部評価の間にギャップが生じている状態だと言えるでしょう。

急速な店舗閉鎖が示す中国事業の厳しい現実

ニトリの中国事業が直面している現実は、想像以上に厳しいものです。
最大の要因は、中国経済全体の構造変化にあります。

不動産バブル崩壊による景気低迷、若年層の消費意欲減退、デフレ圧力の高まりなどが重なり、「家具」という高額かつ購入頻度の低い商品は真っ先に買い控えの対象となりました。

さらに、中国ではECやライブコマースが急速に浸透し、実店舗に足を運ぶ理由そのものが失われつつあります。
ニトリの強みである「大型店舗で実物を見て購入するモデル」は、こうした環境変化と噛み合わなくなってきました。

加えて、似鳥昭雄会長自身が決算説明会で「不況下での大型出店が減益要因の一つだった」と述べ、経営判断の誤りを認めている点も重要です。これは単なる外部環境の問題ではなく、戦略の見直しが避けられない状況であることを示しています。

中国メディアが指摘する「曲線撤退」という見方

中国メディアでは、ニトリの動きを「完全撤退ではないが、実質的な撤退に近い」と捉える論調が目立ちます。
特に使われている表現が「曲線撤退(ソフトランディング型撤退)」です。

これは、表向きは市場に残りつつも、店舗数・投資額・事業規模を大幅に縮小し、将来的な撤退に備える動きを指します。
短期間で20店舗以上を閉鎖した事実や、在庫処分を目的とした割引販売の増加は、この見方を裏付ける材料とされています。

また、「市場の変化についていけていない外資小売の象徴」として報じられるケースもあり、ニトリ単独の問題ではなく、外資系企業全体が直面する構造的課題として語られている点も特徴的です。

ニトリの今後の中国戦略|家具依存からの脱却

ニトリは、中国事業を完全に諦めたわけではありません。
現在進めているのが、商品構成の大幅な見直しです。

従来の主力である家具に加え、衣料品、生活雑貨、ペットフードなど、購買頻度の高い商品群の強化に舵を切っています。これは、来店動機を増やし、単価の低い商品で回転率を上げる狙いがあります。

また、一部店舗では割引販売を積極的に行い、在庫圧縮とキャッシュフロー改善を優先しています。
これらの動きは、拡大路線から「守りと再構築」のフェーズへ入ったことを示しています。

他企業の撤退が示す「中国ビジネス転換期」

ニトリの動きは、決して例外ではありません。
自動車分野では三菱自動車が中国から完全撤退し、日産やホンダも工場閉鎖・生産能力削減を進めています。小売分野でも、ダイソーや三越伊勢丹が相次いで中国店舗を閉鎖しました。

背景には、中国の生産年齢人口減少による人件費上昇、過度な価格競争、地政学リスクの高まりなどがあります。
もはや「中国に進出すれば成長できる時代」は終わり、選別と撤退が当たり前の局面に入ったと言えるでしょう。

消費者視点で見る影響と、冷静に受け止めるべき点

ニトリ中国事業の縮小が、日本の消費者にすぐ影響を与える可能性は高くありません。
生産拠点はすでに分散されており、価格や供給への直接的な影響は限定的です。

ただし、企業としての成長ストーリーは確実に転換点を迎えています。
「海外=中国」という一本足打法から、より慎重で分散型の経営へ移行している最中だと理解するのが現実的でしょう。

結論|ニトリ中国撤退は「公式否定」だが事実上の撤退論も存在する

ニトリは公式には中国から完全撤退していない

しかし短期間での大量閉店・事業縮小は事実

中国メディアや専門家の間では「事実上の撤退」との見方も強い

家具中心モデルは中国市場で限界を迎えている

中国ビジネス全体が転換期に入っている

つまり、「撤退か否か」という二択では語れません。
ニトリの中国事業は今、撤退と継続の狭間にある過渡期にあり、その行方は今後の再編の成否にかかっています。

参考にした情報元(資料)

ニトリ中国事業の店舗再編に関する報道

ニトリ中国市場戦略の解説