ラブ上等を視聴する前から感じていた違和感

Netflixで配信が始まった恋愛リアリティ番組「ラブ 上等」。
視聴前に番組ページを開いたとき、ある違和感を覚えた人もいるのではないでしょうか。

番組のタイトルイメージ画像には、男性メンバー5名、女性メンバー5名。
合計10人のビジュアルが並んでいます。
しかし実際に番組を見始めると、出演メンバーは11名いることが分かります

――では、誰が映っていないのか。

その答えが、後に第3話で緊急退学となるヤンボーでした。
私はこの番組を視聴する前から、「なぜ一人だけメインビジュアルにいないのだろう」という小さな疑問を抱いていました。そしてヤンボーが退学する展開を見たとき、頭の中で点と点がつながったのです。

なるほど、最初から“そうなる可能性”を含んだ存在だったのか、と。

恋愛リアリティショーでは、途中退場者が出ること自体は珍しくありません。
しかし「ラブ 上等」におけるヤンボー退学は、単なる途中降板とは明らかに質が違いました。理由の説明、本人の言葉、制作側の対応、そしてその一部始終を隠さず放送する番組の姿勢。そこには、これまでのお行儀の良い恋リアとは異なる、異様なまでのリアルさがありました。

なぜヤンボーは退学になったのか。
なぜその判断はあれほど重く描かれたのか。
そして、なぜこの出来事は大きな炎上と議論を呼んだのか。

本記事では、第3話で実際に起きた事実を整理しながら、噂や感情論に流されることなく、「ラブ 上等」という番組が選んだ演出と構造を読み解いていきます。この退学は偶然だったのか、それとも最初から織り込まれていた必然だったのか。その答えを探っていきましょう。

第3話で起きたヤンボーの緊急退学という出来事

第3話は、シリーズ全体の空気を一変させる衝撃的なアナウンスから始まります。
番組側より伝えられたのは、男子メンバー・ヤンボーの緊急退学でした。前話までムードメーカーとして場を盛り上げ、恋愛面でも注目を集めていた存在が、何の前触れもなく姿を消す。この展開に、多くの視聴者が戸惑いを覚えたはずです。

退学理由として説明されたのは、飲酒時における「薬物に関する不適切な発言」でした。ヤンボー本人は、その場で「実際に使用していない」と強く否定しつつも、軽率な発言だったことを認め、深く謝罪します。しかし番組側は、公共性の高い配信コンテンツとして看過できない問題だと判断し、退学という厳しい決断を下しました。

ここで重要なのは、番組が問題視したのが「使用の事実」ではなく、「発言が持つリスク」だった点です。視聴者に与える影響、番組全体の信頼性、そしてコンプライアンス。そのすべてを踏まえた結果としての退学であり、個人を裁くための処分ではありませんでした。

番組が退学処理をすべて放送した理由

多くの恋愛リアリティ番組では、途中退場があったとしても、その理由は曖昧に処理されがちです。しかし「ラブ 上等」は違いました

問題となった発言があった場面、番組スタッフとの退学面談、制作陣や企画・プロデュース担当へ連絡が入る様子、さらにはセキュリティガードの姿まで、緊張感を含めてそのまま放送されています。これは偶然映り込んだものではなく、「隠さない」という明確な制作姿勢の表れだと受け取ることができます。

この“すべてを見せる”演出は、リアリティを極限まで高める一方で、視聴者に強い不安と想像の余地を与えました。説明が十分でない部分ほど、人は自分なりの解釈を補完してしまいます。その結果、「本当はもっと重い問題があったのではないか」という噂が自然発生的に広がっていきました。

ヤンボーが残した言葉とメンバーたちの感情

退学が決まった後、ヤンボーは逃げることなく、メンバー一人ひとりと向き合います。この別れの場面こそが、第3話を単なる炎上回ではなく、記憶に残る回にした最大の要因でしょう。

想いを寄せていたベイビーに対しては、「守ってあげたかった。でも、これからは自分で自分を守ってあげてほしい」と言葉を残しました。その言葉には、後悔と優しさが同時に滲んでいました。

てかりんは涙ながらに、「もっと好きになりかけていた」と正直な気持ちを吐露します。これは、退学が単なるルール処理ではなく、確かに人の感情を切り離す出来事であることを、視聴者に突きつけるシーンでした。男子メンバーに向けて「俺を反面教師にして後悔のない恋をしろ」と語る姿からも、ヤンボーが最後まで“兄貴分”であろうとしたことが伝わってきます。

なぜヤンボー退学は大きく炎上したのか

ヤンボー退学がここまで炎上した背景には、本人の言動以上に、情報の伝わり方の問題があります。
番組では「薬物に関する不適切な発言」と説明されましたが、具体的な言葉は明かされず、使用の有無についても断定されませんでした。短期間で退学に至ったこともあり、説明不足だと感じた視聴者は少なくありません。

人は不完全な情報に直面すると、最悪の可能性を想像してしまいます。SNSでは「何を言ったのか」「実はもっと深刻なのでは」という推測が連鎖的に拡散していきました。これは個人攻撃というよりも、リアルを追求する演出と、視聴者の不安心理が噛み合った結果生まれた炎上構造だと言えるでしょう。

ラブ 上等が他の恋愛リアリティ番組と一線を画す理由

「ラブ 上等」が他の恋愛リアリティ番組と決定的に違うのは、リスクのある現実を編集で中和しなかった点にあります。
多くの番組は視聴者の安心感を優先しますが、本作は秩序が崩れる瞬間、ルールが人を切り離す瞬間、感情が置き去りにされる現実を、そのまま提示しました。

退学という言葉をあえて強く使い、番組世界のルールが絶対であることを示した点も象徴的です。これは単なる恋愛バラエティではなく、人間関係の限界を描くドラマに近いアプローチだと言えるでしょう。

視聴者が最終的に退学を受け入れた理由

興味深いのは、炎上しながらも、多くの視聴者が最終的に退学という判断を受け入れている点です。
ヤンボーは魅力的である一方、感情の振れ幅が大きく、番組の均衡を崩しかねない存在でもありました。リアルを求めながらも、完全な混沌は望まない。この矛盾した視聴者心理が、退学という展開を「納得できるもの」へと変えたのです。

まとめ|ヤンボー退学が示したラブ 上等の本質

ヤンボー退学は、単なるトラブル処理ではありませんでした
それは「ラブ 上等」という番組が、何を映し、何を隠さず、どこまでリアルを追うのかを、視聴者に突きつけた象徴的な出来事です。

視聴前に感じた、メインビジュアルの小さな違和感。
それは第3話を通して、この番組の本質を示すサインだったのかもしれません。

だからこそ「ラブ 上等」は、他の恋愛リアリティショーとは一線を画し、強烈な印象を残しました。この退学が語り継がれる限り、本作は単なる恋リアでは終わらないでしょう。