■ ミルク ― 愛するがゆえに揺れた心と弱さの告白

告白前夜、ミルクの心は大きく揺れていました。
2週間という短い時間の中で、Babyへの想いは確かに深まり、真剣な恋へと変わっていました。しかしその一方で、好きになればなるほど苦しくなってしまう自分自身にも気づいていました。相手を想う気持ちが強くなるほど、自信を失い、追いかけすぎてしまう――そんな恋愛をこれまで繰り返してきたことが、ミルクの中に不安として残っていたのです。

Babyと過ごした時間は、間違いなく幸せでした。笑い合い、寄り添い、心を通わせた瞬間の積み重ねは、かけがえのないものでした。しかし、その幸せが壊れてしまう未来を想像したとき、ミルクは自分から一歩引いてしまいそうになります。これ以上つらくなる前に、やめておいた方がいいのではないか――そんな逃げにも似た感情が、彼の心を占めていきました。

同時にミルクは、おとさんと過ごす時間に別の安らぎを感じていました。会話が自然で、一緒にいて肩の力が抜ける存在。人を一途に想う姿勢にも強く惹かれます。しかしそれが恋なのか、自分を守るための選択なのか、ミルク自身にも答えは出せませんでした。

告白当日、ミルクはBabyへの想いを正直に伝えます。
それでも、その迷いはBabyの心に深い影を落としていました。

■ Baby(ユリア) ― 素直になれない過去と覚悟の選択

Babyは、誰よりも真剣に恋と向き合っていました。
過去の経験から、自分の弱さや寂しさを相手にさらけ出すことができず、「もっと話したい」「そばにいてほしい」という本音を心の奥にしまい込んできました。それでも、ミルクは常に寄り添い、真正面から向き合ってくれた存在でした。だからこそBabyも、本気で応えようとしていたのです。

しかし、告白前夜に知ったミルクの迷いは、Babyにとって大きな衝撃でした。
自分が真剣だった分、「その想いは本当に恋だったのか」と疑ってしまった瞬間もありました。それでも、これまでミルクが示してきた行動や言葉に嘘はなかったことも、Babyは理解していました。だからこそ悩み、最後の最後まで答えを出せずにいたのです。

告白の場で、Babyは2人の男性の想いを真正面から受け止めます。
そして選んだのは、過去も弱さも含めて共に背負おうとしてくれたつーちゃんでした。恋愛として未来を描けた相手は誰なのか。その答えを、Babyは涙をこらえながら導き出します。

■ つーちゃん ― 過去を抱えたまま踏み出した本気の恋

つーちゃんは、人との共同生活を避けて生きてきました。
見た目や過去から誤解されることも多く、自分が誰かを本気で好きになることなどないと思っていました。しかし、この2週間で人と深く関わり、心を開くことの意味を知ります。

子どもたちとの触れ合い、仲間との時間を通して、自分の中にあった恐れや不安が少しずつ溶けていきました。そして気づいたときには、Babyへの恋心が確かなものになっていたのです。

告白の場で、つーちゃんは覚悟を持って想いを伝えます。
短い期間でも本気で恋をしたこと、過去も含めて相手と向き合いたいこと。その言葉は、Babyの心に深く届きました。

Babyは、つーちゃんとなら本気で恋ができると感じ、2人はカップルとして成立します。

■ タックル ― 不器用な一途さが示した誠実な愛

タックルは、初日からきぃーちゃんだけを見続けていました。
恋愛に慣れているわけではなく、どうアプローチすればいいのか分からないまま、それでも誠実に想いを伝え続けます。一途であること、それ自体が彼の強さでした。

告白の場で、タックルは全てを込めてきぃーちゃんに想いを伝えます。
しかし、きぃーちゃんは恋愛としての気持ちに踏み出せない自分の本音を語ります。恋人になるよりも、仲間としての関係を大切にしたい――その選択は、2人が真剣だったからこそ出た答えでした。

成立はしなかったものの、そこには確かな尊重と感謝が残りました。

■ 二世 ― 迷い続けた末に選んだ本物の感情

二世は、この旅の中で最も迷い続けた存在でした。
あもへの気持ちが恋なのか、それとも周囲の影響なのか、自分自身でも分からなくなっていきます。しかし、あもが他の男性と話すたびに胸がざわつくことで、自分の中に抑えきれない感情があることを認めざるを得ませんでした。

告白の場で、二世は迷いを乗り越え、あもに真剣な交際を申し込みました。
逃げずに出した答えは、彼自身の成長の証でもありました。

■ あも ― 揺れた心が辿り着いた未来への決断

あもは、多くの想いを受け取りながらも、自分の心が定まらない時間を過ごしていました。
周囲の声や情報に揺れ、不安や迷いを抱えながらも、最後に大切にしたのは「自分が誰と未来を描けるか」でした。

二世と出会えたこと、その存在が自分にとってどれほど大きかったのかに気づいたとき、あもは答えを出します。2人は互いの過去も不安も受け入れ合い、共に歩む選択をしました。

■ おとさん ― 二世だけを想い続けた報われない一途さ

おとさんは、2週間の間、ただ一人――二世だけを想い続けていました。
誰かに気持ちを試すこともなく、他の可能性に目を向けることもありませんでした。二世の気持ちが揺れていることも、迷っていることも理解したうえで、それでも自分の想いだけは変えずに持ち続けていたのです。

おとさんの恋は、強く押す恋ではありませんでした。
相手の選択を尊重し、待つことを選びながらも、決して気持ちをごまかすことはありませんでした。告白前夜も、結果がどうであれ、自分が本気で恋をしたという事実から逃げない覚悟を固めていました。

告白式で、二世が選んだのはあもでした。
その瞬間、おとさんは感情を荒立てることなく、静かに結果を受け止めます。「もう悔いはない」という言葉には、やり切ったという実感と、報われなかった恋への痛みが同時に込められていました。

恋は実りませんでしたが、おとさんの一途さと誠実さは、この旅の中で確かに存在感を放っていました。それは、結果だけが恋の価値ではないことを示す、もう一つの答えでした。

■ 卒業 ― 恋の結果を超えて残ったもの

告白式を終え、参加者たちはそれぞれの想いを胸に学校を後にします。
成立した恋も、実らなかった恋も、すべてが本気だったからこそ意味を持っていました。

『ラヴ上等』最終回は、恋愛の勝ち負けではなく、人が人を本気で想うことの難しさと尊さを描き切り、それぞれの人生へと続く余韻を残して幕を閉じます。

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参考資料

Netflix (ネットフリックス) 公式サイト