結論:原作は漫画ではなく韓国の小説

・原題:韓国語で「나의 미친 페미니스트 여자친구」
・英題:My Crazy Feminist Girlfriend
・媒体:漫画ではなく韓国の小説
・日本語版:著者ミン・ジヒョン、訳者 加藤慧、イースト・プレスより2022年3月17日刊行
ISBN:9784781620633、定価:1,760円。
(イースト・プレス公式ページ)
誤情報として「漫画」と紹介しているサイトもあるが、正式には“長編小説”である。

あらすじ(ネタバレなし/概要)

本作は、大学時代に深く愛した“彼女”を忘れられない主人公「僕」が、数年後に再会した彼女がフェミニストとして人生を歩み始めていたことで葛藤しながらも、再び関係を築こうとする物語である。恋愛と社会問題が交差し、ジェンダー観の衝突や価値観のズレを真正面から描くのが特徴だ。恋愛だけを描くのではなく、現代社会の構造や個人の選択を深く掘り下げることで、多様な読者に考えるきっかけを与えてくれる一冊である。

詳しいあらすじ(ネタバレあり)

※以下には重大なネタバレが含まれます。

主人公「スンジュン」は大学時代、心から愛した女性と付き合っていたが、インターンのための渡米を境にメール一通で別れを告げられてしまう。ショックを受けながらも彼は日本で就職し、日々の生活に追われるようにして過去を封じようとしていた。
数年後、偶然にも彼女と再会するが、かつての姿とは違い、彼女はフェミニストとして強い社会的信念を持ち、堕胎法反対のデモにも参加するほど積極的な行動を見せていた。

スンジュンは彼女への気持ちが再び揺れ動くものの、互いの価値観は大きく変わっており、恋愛と社会観の隔たりに苦しむ。彼女は一人の人格として揺るぎない態度を保ち、スンジュンはその姿に戸惑いながらも理解しようと葛藤する。ラストに至るまで、恋愛と思想、個人と社会の衝突が丁寧に描かれ、読者自身の価値観にも鋭い問いが投げかけられる。

登場人物と特徴

登場人物 立場/属性 作品内での特徴・役割
スンジュン(僕) 男性、会社員 過去の恋を引きずる普通の男性。彼女との再会によって価値観と社会観の揺らぎを経験する。
“彼女” 女性、フェミニスト 一度は恋人だったが別れを経てフェミニストとして自立。デモ参加など社会活動にも積極的。名前は象徴性のため明示されない。
周囲の友人・家族 男性・女性 保守的価値観や結婚圧力の象徴。スンジュンの葛藤やストレスの背景となる。

著者・翻訳者・出版社情報

本作の著者であるミン・ジヒョンは韓国の脚本家出身で、本作が初の長編小説となる。社会問題やジェンダーへの関心が強く、それが作品に表れている。翻訳を担当した加藤慧は、韓国語と日本語のニュアンスを丁寧に橋渡ししており、作品の読み心地の良さを支えている。出版はイースト・プレスで、紙と電子版の両方が用意されている。

(イースト・プレス書籍ページはこちら)

映画化・最新情報(2025年12月3日時点)

・永野芽郁主演でNetflix映画化(2026年配信予定)
・監督・脚本:小林啓一
・制作:AOI Pro.

韓国の小説として注目を集めた本作は、ついに映像作品として制作されることとなった。主演は人気女優・永野芽郁。Netflixで世界配信予定であり、国内外から大きな期待が寄せられている。

(映画化ニュース:スターダスト公式)
(映画.com ニュース)

評価・レビューの傾向

肯定的な感想

・恋愛とフェミニズムが自然に織り交ぜられており、新しい視点が得られる
・“普通の男性”視点で語られるためテーマのハードルが低い
・読み進めるほど社会問題が自分ごととして感じられる

否定的な感想

・価値観のぶつかり合いが強く共感しづらい場面がある
・主人公の態度に感情移入しにくいという意見も存在する

恋愛小説として読む読者と、社会問題を軸に読む読者とで印象が大きく変わる作品であり、その“分かれ方”自体が本作の魅力を強めているといえる。

どんな人におすすめか/逆に合わない人

おすすめの読者

・恋愛だけでなく社会問題も絡む作品を読みたい人
・フェミニズムやジェンダー問題に興味がある人
・価値観のズレや葛藤をテーマにした物語を好む人

向かない可能性がある読者

・軽い恋愛小説を求めている人
・思想的テーマに抵抗がある人
・衝突よりも癒やしを重視したい読書体験を求める人

なぜ「小説」として読むべきか — 本作の価値

『僕の狂ったフェミ彼女』は、恋愛小説でありながら社会的テーマに深く切り込む稀有な作品だ。“普通の男性”視点で描かれることにより、読者自身の価値観や日常の中で見落としている偏りを浮き彫りにする力を持つ。また、エンタメとしての読みやすさも十分で、重いテーマでも「読ませる力」が非常に強い。

今すべきこと —— 小説と映画を楽しむために

・まずは原作の小説版を読む
・2026年配信のNetflix映画版をチェックしておく

原作を読み、映画でどう再構築されるかを見ることで、本作のテーマをより深く理解できるだろう。

参考情報(情報元)