いま本当に起きていること — イギリスで報告される「性的暴行増加」の現状
近年、イギリスでは性的暴行を含む重大犯罪の報告件数が増加傾向にあります。イングランドとウェールズにおける2023年の統計によれば、警察が記録したレイプ事件は前年と比較して増加しており、その他の性的犯罪も同様に上昇しています。増加の背景には、被害者の通報意識の高まりや、警察の記録方法改善が影響しているとされていますが、実際の発生件数の増加も否定できません。
観光客は、こうした背景を理解したうえで渡航計画を立てることが重要です。特に都市部の繁華街やナイトスポットでは、外国人旅行者が狙われるケースが報告されており、公共交通機関や飲食店など、日常的な移動や食事の場面にも注意が必要です。信頼できる公的機関のデータを参照しながら、現地の最新治安情報を把握しておきましょう。
イギリスでの性的暴行事件の件数が30%以上の増加
最も劇的な増加を示し、多くのメディアでも取り上げられたのは、2020年から2022年にかけての期間です。
- 2020年3月までの1年間に警察に記録された性的暴行事件の総数は約15万件でした。
- 2022年3月までの1年間には、この数字が約19.4万件に増加しました。
この2年間の変化は、30%以上の増加に相当します。
イギリスへの観光客が恐れていることとは?
観光客が最も恐れるのは、「楽しいはずの旅が犯罪被害によって一変する未来」です。具体的には、夜間の移動中や飲食店での不意の被害、公共交通機関での痴漢被害、混雑エリアでの盗難と暴行の併発などが挙げられます。さらに、海外で被害に遭うことは、言語の壁や文化的な違いによって被害後の対応が遅れるリスクも伴います。
こうした恐怖は、インターネットやSNSで拡散される事件報道や体験談によって現実味を増し、旅行前の心理的ハードルとなります。特に初めてイギリスを訪れる旅行者は、「もし自分が同じ目に遭ったらどうしよう」という不安を抱えがちです。この不安を和らげるには、事前の知識習得と現地での行動指針が不可欠です。
観光客が今すぐ取るべきこと(チェックリスト)
旅行者が現地で安全を守るためにできる行動を、実用的なチェックリストにまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
夜間移動は信頼できる配車アプリを利用 | 未登録のミニキャブは避け、UberやBoltなど認可済みサービスを使用 |
飲み物管理 | 自分のドリンクは常に目の届く場所に置き、他人から受け取らない |
移動ルート共有 | 家族や友人に予定と位置情報を共有するアプリを使用 |
持ち物防犯 | 斜め掛けバッグやチャック付きポーチでスリ対策 |
事前リサーチ | 行く予定のバーやクラブの評判をネットで確認 |
緊急連絡先の保存 | 999(警察・救急)、大使館、現地警察署の番号をスマホに登録 |
無理な抵抗を避ける判断 | 危険が高まる場合は回避を優先し、その後速やかに通報 |
これらは現地到着日からすぐ実行できるシンプルな行動であり、特別な装備や費用はほとんど必要ありません。
都市別の注意ポイント
都市ごとに犯罪傾向や注意点には違いがあります。代表的な都市の例を挙げます。
- ロンドン:地下鉄や夜行バスの利用時は、混雑や人気の少ない時間帯に注意。特に週末の繁華街は飲酒者が多く、絡まれるケースも。
- マンチェスター:音楽イベントや試合後の人混みでスリや痴漢の発生率が高まる傾向。
- リバプール:港湾エリアの観光地は日中は安全でも、夜間は人通りが少なくなるため避けた方が無難。
都市別の傾向を把握しておくことで、行動計画や滞在場所の選択にも役立ちます。
万が一被害に遭ったら(相談先・実務手順)
被害時の初動は、安全の確保と迅速な通報です。まず安全な場所へ避難し、緊急番号999に連絡します。証拠保全のため、可能であれば着衣や持ち物をそのまま保ち、速やかに医療機関を受診します。
通報後は、在英日本国大使館や領事館にも連絡を取り、通訳や法的支援を受けます。また、英国には性犯罪被害者支援団体(Rape Crisisなど)があり、カウンセリングや法的助言を受けることができます。
機関名 | 連絡先 | 対応時間 | 言語対応 |
---|---|---|---|
緊急通報(警察・救急) | 999 | 24時間 | 英語 |
在英日本国大使館 | +44-(0)20-7465-6500 | 平日・時間外は緊急対応可 | 日本語 |
Rape Crisis | 0808-500-2222 | 24時間 | 英語(一部通訳支援あり) |
よくある質問(FAQ)
Q1:観光客が被害に遭うケースは多いですか?
A:統計上、現地住民が大半ですが、観光客も被害事例は報告されています。特にナイトライフや一人行動時にリスクが高まります。
Q2:夜に一人で出歩いても大丈夫?
A:大通りや明るい場所なら比較的安全ですが、深夜帯は避け、移動はタクシーや配車アプリを利用しましょう。
Q3:被害後の証拠保全方法は?
A:着替えやシャワーを避け、警察や医療機関での検査を優先してください。
まとめと安全に旅するための最終チェック
イギリスの治安悪化や性的暴行増加の背景には、複数の要因が絡み合っています。しかし、事前の情報収集と現地での行動次第で、リスクは大幅に減らせます。夜間の行動計画や緊急連絡先の準備は必須です。
安全を守りながら文化や観光を楽しむために、この記事のチェックリストを旅の計画に組み込み、安心できる思い出を作りましょう。
参考にした情報元
-
Crime in England and Wales: year ending March 2025
犯罪の最近の傾向(性的暴行含む)を速報提供
ONS公式ページ -
Victim of rape and sexual assault abroad
海外で性的暴行を受けた場合の支援情報
GOV.UK 政府公式ガイド -
Personal safety: how to stay safe
ロンドンでの個人の安全対策アドバイス(警察公式)
Metropolitan Police -
How to Stay Safe in London
観光客向けにロンドンで安全に過ごすためのヒント
Visit London(公式観光情報サイト) -
Advice for women travelling abroad
外国での性的暴行に関する注意と対策(政府発)
FCDO(英国外務省 + 開発省) -
Crime Survey for England & Wales (latest results)
国民生活調査による犯罪実態の最新統計
Crime Survey公式サイト -
Rape Crisis – Sexual violence statistics
全年齢対象の性的暴力統計とサポート内容
Rape Crisis England & Wales