はじめに

日本における外国人犯罪の実態を正しく理解することは、偏見を防ぎ、実効性ある対策を進める上で非常に重要です。本記事では「外国人 犯罪率 国別」のキーワードを軸に、国別の検挙人員、罪種別傾向、在留資格との関係などを、最新の統計(令和5年/2023年)に基づいて網羅的に解説します。

外国人犯罪の全体概要(令和5年)

外国人犯罪の全体像を理解するためには、まず検挙人員と在留人数を比較する必要があります。令和5年(2023年)における刑法犯による来日外国人の検挙人員は約10,040人、特別法犯は約4,534人で、合計すると約12,170人が検挙されました。在留外国人数が約255.8万人であることを考慮すると、犯罪率は0.3?0.4%程度とされています。一方、日本人全体の犯罪率は0.22%程度。確かにわずかに高い数値ですが、極端な差ではありません。このように、事実に基づく冷静な視点が大切です。

国別の検挙人員(刑法犯)

下記の表では、外国人による刑法犯のうち、国別での検挙件数と検挙人員数を示しています。

国籍 検挙件数(刑法犯) 検挙人員数
ベトナム 約3,130件 約836人
中国 約1,039件 約571人
ブラジル 約229件 約122人
フィリピン 約203件 約148人

ベトナム人が最も多く検挙されており、全体の中でも大きな割合を占めます。これは、技能実習生として来日しているベトナム人が多いことや、経済的背景から軽犯罪に巻き込まれる傾向があるためと考えられます。

罪種別・国籍別の傾向

窃盗犯

外国人犯罪の中でもっとも多いのが窃盗犯です。とくにベトナム国籍の検挙人員が突出して多く、万引きや空き巣といった窃盗事件が多発しています。なかには、組織的に動く集団による犯行もあり、対策が急務とされています。

粗暴犯(暴行・傷害など)

粗暴犯では中国籍の検挙者が最も多く、次いでベトナムとなっています。多くは飲酒トラブルや労働トラブルが発端となっており、突発的な暴力事件に発展するケースが目立ちます。

知能犯(詐欺・文書偽造など)

詐欺や偽造といった知能犯も見逃せません。特にSNSなどを使った投資詐欺や闇バイトなどに外国人留学生や実習生が関与する事例が増えています。背景には、日本での生活費や学費の困窮があるとされています。

特別法犯(入管法違反・薬物など)

入管法違反は、特別法犯の大部分を占めており、不法残留や資格外活動が中心です。下記の表では、特別法犯の主な内訳を示しています。

国籍 入管法違反 その他(薬物、銃刀法違反など)
ベトナム 約2,022人 覚醒剤少数
中国 約784人 大麻・偽造関連での検挙例あり
フィリピン 約226人 少数事例(麻薬等)

薬物犯罪に関しては、全体としては比較的少数ですが、大麻や覚醒剤に関する事件も報告されており、警察による摘発が進んでいます。とくにインターネット経由での密売や闇ルートが課題となっています。

在留資格別の傾向

外国人の在留資格によって犯罪傾向が異なることがわかっています。

在留資格 主な検挙理由
技能実習生 窃盗・入管法違反
留学生 万引き・不法就労・詐欺への加担
特定技能・短期滞在 入管法違反(在留期間切れなど)

技能実習制度は労働環境や待遇が劣悪であるケースも多く、逃亡や違法就労へとつながることがあります。留学生の場合は、生活費を補うために違法アルバイトに関与するケースが少なくありません。資格と就労環境が密接に関係している点に注意が必要です。

地域別の傾向(参考)

外国人による犯罪は全国的に発生していますが、特に東京都、愛知県、大阪府といった大都市圏での検挙件数が多く報告されています。これは、これらの地域に外国人労働者や留学生が集中しているためであり、必然的に事件も集まりやすくなります。とくに関東・中京圏ではベトナム人の技能実習生が多く、地域特性との関連性が見られます。

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まとめ:正確な理解が偏見を防ぐ

外国人による犯罪の多くは、特定の国籍や職種、在留資格に集中していますが、それは社会的・経済的背景によるものであり、全体から見れば決して多いわけではありません。在留外国人の98%以上は法を守り、日本社会に貢献しています。犯罪報道やSNSの断片的情報に惑わされず、正しい統計を基に冷静に判断することが重要です。共生社会を目指す上で、正確な情報に基づく議論こそが求められます。

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