結論:施行は「2024年公布から3年以内」、遅くとも2027年6月ごろまでに開始
2024年6月14日に成立し、同年6月21日に公布された「出入国管理及び難民認定法(入管法)」の改正により、永住者でも一定の条件で「永住許可の取消し」が可能となる規定が新設されました。附則では「公布の日から起算して政令で定める日」に施行されるとされており、実務上は公布から3年以内(=遅くとも2027年6月ごろまで)に施行される見通しです。施行日が正式に確定するのは政令公布のタイミングであり、最新情報は出入国在留管理庁の公式発表・官報で確認することが必要です。
入管法改正の経緯と現在の状況
今回の法改正は、永住者の在留管理の適正化を目的としたものです。背景には、「永住許可後の納税義務・法令遵守を怠る悪質な事例」への対応強化が挙げられます。
- 成立日:2024年6月14日
- 公布日:2024年6月21日
- 施行日:公布後、政令で定める日(原則3年以内)
法務省および入管庁によると、運用上は悪質なケースに限定し、やむを得ない事情がある場合は考慮するとされています。つまり、ただの納付遅延や一時的な未納ではなく、故意かつ長期の未納や虚偽申告などが主な対象です。施行時期はまだ政令で定まっていませんが、施行準備や制度周知のための期間を考慮すると、2026年〜2027年前半に施行される可能性が高いと考えられます。
永住権取り消しの対象となる主な事由
今回の法改正で追加された「取消し事由」は以下の通りです。悪質な行為を防止する目的があり、誤って取り消されることがないよう、個別の事情を慎重に考慮する運用が想定されています。
事由 | 内容 | 注意点 |
---|---|---|
公租公課の不納付 | 故意に税金・社会保険料を納めない場合 | 一時的な未納や経済的困難による場合は除外される可能性 |
重大犯罪の実刑 | 懲役・禁錮など拘禁刑に処された場合 | 軽微な罰金刑等は対象外の見通し |
入管法違反 | 届出義務違反・虚偽申告など | 住所・勤務先の未届出にも注意が必要 |
不正取得 | 虚偽書類による永住許可の取得 | 発覚後は取り消しの可能性が高い |
特に「納税義務の不履行」に関しては、納税証明や分割納付の合意書を示すことで、悪質性の有無が判断されるため、証拠の保管が極めて重要です。
施行時期(いつから?)の最新見通しと重要な日付
施行日は「政令で定める日」とされ、現時点では未確定です。附則の規定上、公布から3年以内が上限とされています。現行法の改正スケジュールを踏まえると、以下のようなタイムラインが想定されます。
区分 | 内容 |
---|---|
法律成立 | 2024年6月14日 |
公布 | 2024年6月21日 |
施行準備期間 | 〜2026年中頃(周知・告知期間) |
施行見込み | 2026年〜2027年6月頃 |
正式施行日 | 政令公布により決定(※官報掲載予定) |
結論:2027年6月までには施行される見通しです。公式発表は出入国在留管理庁のWebサイト・官報を必ず確認しましょう。
永住者が今すぐするべきこと(5つのステップ)
1. 税金・社会保険料の納付状況を確認
市区町村の税務課、年金事務所、健康保険組合などで「納付証明書」を取得し、滞納がないかを確認しましょう。もし未納がある場合は、早急に分割払いや猶予申請を行うことが重要です。
2. 完納証明・分割納付の記録を保存
支払い済みの領収書、完納証明、分割契約書は必ず保管し、いつでも提示できるよう整理してください。これは“悪質性がない”ことの証明になります。
3. 在留カード・住所届出を更新
住所変更や職場変更など、入管法上の届出義務を怠らないようにしましょう。更新漏れや住所不一致は、形式的な違反として取消し事由になる可能性があります。
4. 法令遵守・軽犯罪の防止
交通違反や軽微な刑事罰でも、繰り返すことで信用を損ねる場合があります。特に重大犯罪に該当する行為は厳禁です。
5. 専門家・相談窓口への相談
行政書士や弁護士、自治体の外国人相談センターに相談することで、手続きの不備や誤解を防げます。初回無料相談も多く、早めの対応が安心につながります。
よくある質問(FAQ)
Q1:施行日はいつですか?
A:現時点では未定です。附則により公布から3年以内に政令で定められます。最終的な日付は官報・入管庁サイトで告知されます。
Q2:一度の税滞納でも取り消されますか?
A:一時的・不可抗力による滞納は除外される見込みです。悪質な長期未納が主な対象です。
Q3:過去の滞納も対象になりますか?
A:施行後に「悪質」と判断された場合は考慮対象になり得ますが、既に完納し、証拠がある場合は不利にはなりません。
Q4:どこに相談すればいいですか?
A:出入国在留管理庁、自治体の外国人支援窓口、行政書士・弁護士が主な相談先です。
Q5:施行日が決まったらどうすればいい?
A:まずは税・社会保険料の納付状況を再確認し、必要に応じて専門家に相談しましょう。
まとめ
「永住権取り消し法案」は2024年6月に公布され、遅くとも2027年6月までには施行される見込みです。対象となるのは、悪質な税や社会保険料の不払い、重大犯罪などです。今できる最も重要なことは、納税状況の確認・証拠の整理・届出の遵守です。不安がある場合は、専門家や行政窓口への相談を早めに行いましょう。日常の小さな確認が、将来の安心につながります。