Colaboとは? ― 団体の基本情報

Colaboは、若年の性暴力被害女性や困難な事情を抱える女性を支援するための団体で、相談支援、居場所提供、行政や公的機関との連携などを行ってきた。
2018年度以降、国および自治体の制度として始まった「若年被害女性等支援事業」において、コラボは都からの委託を受け、支援事業を担っていた。(Colabo)
ただし、公金(税金または補助金)が投入される以上、適切な会計処理・説明責任が求められる。

問題の経緯(タイムラインで整理)

年/月 出来事
2018年度 若年被害女性等支援事業が開始され、コラボら委託団体が選定される
2022年11月 コラボに対し、住民監査請求が行われる(会計報告の妥当性を問う)(福祉新聞Web)
2023年1月 都監査委員が再調査を勧告。契約のあり方や支出内容の検証が開始される。(毎日新聞)
2023年3月3日 東京都監査事務局が再調査の結果を公表。約192万円を経費と認めず、改善を指示。一方で返還請求は行われず。(福祉新聞Web)
2023年3月以降 他の委託団体(若草プロジェクト、BONDプロジェクト、ぱっぷす)にも再調査が広がる。経緯として異例。(福祉新聞Web)
2023年度以降 同支援事業は「補助事業」へと制度変更され、公金支出の管理や審査体制の見直しが進められる。(福祉新聞Web)

このように、問題が顕在化したのは2022年以降だが、監査結果の内容が公になるまでに時間を要している。

監査結果と都の判断 ― 問題点と結論

東京都監査事務局の再調査によれば、以下のような問題点が指摘され、約192万円分が経費として認められなかった。(福祉新聞Web)

  • 領収書の一部提示拒否や、不十分な証拠書類(72件・約25万2千円)。
  • 管理台帳の誤記載、支援内容が不明瞭な領収書の存在。
  • 税理士報酬(法定福利費を含む)など、事業以外の活動費が全額計上されていた可能性。(毎日新聞)

しかし都は「全体として支出総額が委託料上限内に収まっていた」ため、過払いの返還請求は行わないと判断した。(福祉新聞Web)

都の公式見解としては「契約自体は有効」「随意契約の要件を満たしていた」とされ、法的に契約無効とは判断されていない。(福祉新聞Web)

なぜ「報道されない」のか? ― 5つの理由を考える

  1. 契約・会計の専門性の高さ

    支出の妥当性、領収書の有無、法定福利の按分など、会計・契約規則の複雑さゆえ、専門的知見が必要。多くの編集部・記者はそこまで踏み込む余地やリソースを割きづらい。

  2. 誹謗・中傷の構造とデリケートな支援対象

    支援対象が性暴力や貧困の被害者であるため、匿名性とプライバシーの保護が優先され、深掘りや実名報道を避ける媒体もある。

  3. 政治的・行政的配慮

    公金支出と行政委託という構造のため、「自治体批判」「福祉制度批判」に波及しかねず、報道機関が慎重になる。

  4. 証拠関係のあいまいさ

    一部の領収書提示拒否、不明瞭な支出内容、代替説明で「不正確=故意」と断言しづらい。報道リスクを嫌う媒体では控えられやすい。

  5. 世論と優先報道の分断

    性暴力や貧困支援の話題は常に高い関心を得るわけではなく、他のニュースに比べて優先度が下がる傾向がある。――こうした背景が、今回の「大きな報道」を阻んだ可能性がある。

このように報道量が限られたのは、必ずしも「問題がなかったから」ではなく、複数の要因が絡み合っているように見える。

支援現場・被害者への影響 ― 今後の懸念

今回のような会計問題や報道の抑制が続けば、次のようなことが起こりうる。

  • 支援団体への不信感が広がり、寄付や行政委託が縮小 → 必要な支援が減る可能性
  • 被害者や相談者の声が可視化されず、支援の「透明性」「継続性」が失われる
  • 行政が民間に委託する支援事業自体の見直し論が強まり、「民間団体だから」という理由で福祉制度から疎外されるリスク

こうした懸念を防ぐためには、団体のガバナンス強化・会計透明化・第三者監査の徹底などが不可欠だろう。

今、私たちがするべきこと

  • 都や自治体の公表資料、監査報告書を直接確認する ― 中立かつ正確な情報を得るため。
  • 支援団体へ問い合わせを行う ― 問題点だけでなく、改善状況や現在の支援実態を把握。
  • 情報発信する場合は、憶測やデマに頼らず、事実と出典を明示 すること。
  • 性暴力や貧困に苦しむ当事者の尊厳やプライバシーを守りつつ、制度の問題点や改善を冷静に考える。

よくある質問(FAQ)

Q. コラボの監査結論はどうなったの?

A. 東京都により再調査され、一部支出(約192万円分)は経費と認められず「不適切」とされたが、全体の支出総額が委託料の上限内だったため、返還請求などのペナルティはなかった。(福祉新聞Web)

Q. では「税金の無駄遣い」にならなかったのか?

A. 法律上および契約上は「問題なし」とされた。ただし領収書提示拒否など会計の透明性には改善指導が出されており、「信頼性の問題」が残る。(福祉新聞Web)

Q. なぜ大きく報道されなかったのか?

A. 会計の専門性、支援対象のデリケートさ、行政との関係、証拠関係の曖昧さ、ニュース価値の優先順位などが重なり、報道が限定的になった可能性が高い。

まとめ

colabo問題は、若年被害女性らへの支援という社会的に重要な事業と、公金の適正運用という行政責任――そのはざまで起きた出来事だ。
今回の監査では「一部不適切支出」が認定されたものの、法的ペナルティはなく、返還請求もなされなかった。だがそれだけで「問題なし」と断じるには、透明性・説明責任の観点から不十分だろう。
また、報道されにくかった背景には、単純な「報じない圧力」だけでなく、構造的な要因が複合している可能性がある。支援現場の継続性や、同様の問題の再発を防ぐためには、情報を正確に、慎重に扱い続ける必要がある。

私たち読者・市民としても、冷静に事実を見つめ、必要なら声をあげ、制度と支援の健全性を問い直す姿勢が求められている。

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