はじめに:cisAB型とは?

cisAB型は、非常に珍しい血液型で、日本国内では約1500人しか存在しません。一般的なAB型は、A型遺伝子とB型遺伝子がそれぞれ異なる染色体に存在しますが、cisAB型は1本の染色体上にA型とB型の両方の遺伝子を持つため、AB型として表れます。この特異な遺伝子配置のため、両親がAB型とO型でも、子供がAB型やO型になることがあります。血液型自体は健康に影響ありませんが、遺伝や輸血の際には特別な注意が必要です。

cisAB型の読み方と調べ方

cisAB型は「シスエービー型」と読みます。この血液型を調べるには、ABO式血液型検査遺伝子検査が用いられます。
遺伝子検査では、1本の染色体にA型とB型の両方の遺伝子が存在するかを確認することが可能です。
医療機関での検査が推奨され、特に輸血や臓器移植など医療現場で正確な血液型情報を把握するために重要です。

cisAB型の確率:どのくらいの人が持っているのか?

cisAB型は非常に稀で、発生頻度は約0.0015%とされています。国内では徳島県に頻度が高く(0.017%)、戦国時代の近親結婚の影響も指摘されています。

親の血液型 遺伝子型 子供の血液型 備考
AB型(A/B)× O型(O/O) 標準AB×O A型(A/O)またはB型(B/O) 通常のAB型親の場合
cisAB型(AB/O)× O型(O/O) cisAB/O × O/O cisAB型(AB/O)またはO型(O/O) 稀な遺伝型による特異なケース

このように、通常はAB型とO型の親からAB型やO型の子供は生まれませんが、cisAB型の場合は例外が起こります。

輸血におけるcisAB型の重要性

cisAB型は特異な抗原構造を持つため、輸血時には注意が必要です。
交差適合試験遺伝子型の確認により、適切な血液型の血液を選択することが推奨されます。
医療従事者は、輸血前にcisAB型の可能性を考慮して検査を行い、誤った血液の投与によるトラブルを防ぐ必要があります。

まとめ:cisAB型を理解し、適切な対応をしよう

cisAB型は極めて稀な血液型であり、遺伝子上の特異性からAB型とO型の親子間で通常では考えられない血液型の子が生まれることがあります。健康への影響はありませんが、輸血や医療処置では正確な血液型の把握が必須です。医療従事者は、遺伝子型の確認や交差適合試験を通じて安全な輸血を行うことが求められます。

参考資料